《0309》 先生、よく逮捕されませんね? [未分類]

ある程度経験のある病院勤務医と一緒に末期がんの患者さんを
何軒か訪問して、感想を訊いてみました。

「こんな患者さんを家に置いていて大丈夫ですか?」
「入院が必要ではありませんか?」。

「みんな病院から紹介されて家に帰ったばかりの患者さんですよ」と答えると
「でも、こんな重症なのに、家に置いておく神経が信じられない」。
さらに「長尾先生、こんなことしていて、よく逮捕されませんね?」。

病院医療者自身が、「人間の最期の場所は病院である」と信じきっています。

私は、「病院は、病気を治す修理工場であり死ぬ所ではない」と考えています。
しかし99%の医者は、こんな私の考えをオカシイと言います。

医療者自身がそんな考えですから、いくら市民に在宅療養を説いても
通じないのは当たり前かもしれません。

病院医療者を少し弁護するなら、私もかつてそうでしたが、訴訟回避の
「ディフェンスメディシン」にドップリ慣らされてしまっているのです。

「いい医療」より、「訴えられない医療」なのです。