《0319》 ノロウイルスの不思議(その5)簡易検査 [未分類]

現在、日本ではイムノクロマト法(IC)法という簡便な

ノロウイルス抗原検出法が開発されています。

綿棒に便検体を直接付着させれば、15分で結果が出ます。

いつでもどこでも行えます。

綿棒を肛門に入れてもいいです。

不顕性感染者が約半数いることや、感染者が1カ月近くウイルスを

排出している事実は、この検査法で分かりました。

施設内でノロが集団感染した時には、感染経路や感染規模を

知るために、保健所などがIC法で調べることがあります。

食中毒としてのノロウイルスを調べる時も、同様です。

ただし、まだ健康保険がききません。

自費で行う場合は、数千円程度かかると聞きます。

私自身は、一度もこの検査を行ったことはありません。

よく「ノロウイルスが完治したことを証明する検査をしてください」

という方が来られます。

職場の上司からそう言われたのでしょう。

食品関係の職場は、厳しく管理すべきなので当然の発想でしょう。

しかし、症状が治まっても1カ月もウイルス排出は続くのです。

また、不顕性感染も半数あるのです。

ということは、その職場には、他にも感染者がいる可能性が高い。

まさか、1カ月間も事業所を閉鎖するわけにはいきません。

また、高いお金を払って「陽性」と分かっている検査を

わざわざ行う意味もありません。

症状が治まった時点で、略治したと考えるのが現実的でしょう。

本人は、周囲のためにも、手洗いを徹底して行うべきです。

非感染者も、もしかしたら不顕性感染者かもしれないので同様に

手洗いを励行する、それ以外に予防法はないのです。

 私は白血球数を測定することは時々あります。

低下~正常範囲なら、おそらくノロウイルス感染症。

上昇していたら細菌性の感染性胃腸炎と診断しています。

「感染性胃腸炎」という診断名は、大変ありがたい病名です。

ノロウイルスなどの「ウイルス性の胃腸炎」も、「細菌性胃腸炎」も

すべて包含されているからです。

 予防は、まず敵(ウイルス)をよく知ることから始まります。

知っているようで、何も知らなかった「ノロ」ちゃん。

「ノロ」ってどことなく可愛く感じる名前ですが、Norwalkという地名から来ています。

1968年、オハイオ州Norwalkの小学校で発見されたウイルスです。