現在、日本ではイムノクロマト法(IC)法という簡便な
ノロウイルス抗原検出法が開発されています。
綿棒に便検体を直接付着させれば、15分で結果が出ます。
いつでもどこでも行えます。
綿棒を肛門に入れてもいいです。
不顕性感染者が約半数いることや、感染者が1カ月近くウイルスを
排出している事実は、この検査法で分かりました。
施設内でノロが集団感染した時には、感染経路や感染規模を
知るために、保健所などがIC法で調べることがあります。
食中毒としてのノロウイルスを調べる時も、同様です。
ただし、まだ健康保険がききません。
自費で行う場合は、数千円程度かかると聞きます。
私自身は、一度もこの検査を行ったことはありません。
よく「ノロウイルスが完治したことを証明する検査をしてください」
という方が来られます。
職場の上司からそう言われたのでしょう。
食品関係の職場は、厳しく管理すべきなので当然の発想でしょう。
しかし、症状が治まっても1カ月もウイルス排出は続くのです。
また、不顕性感染も半数あるのです。
ということは、その職場には、他にも感染者がいる可能性が高い。
まさか、1カ月間も事業所を閉鎖するわけにはいきません。
また、高いお金を払って「陽性」と分かっている検査を
わざわざ行う意味もありません。
症状が治まった時点で、略治したと考えるのが現実的でしょう。
本人は、周囲のためにも、手洗いを徹底して行うべきです。
非感染者も、もしかしたら不顕性感染者かもしれないので同様に
手洗いを励行する、それ以外に予防法はないのです。
私は白血球数を測定することは時々あります。
低下~正常範囲なら、おそらくノロウイルス感染症。
上昇していたら細菌性の感染性胃腸炎と診断しています。
「感染性胃腸炎」という診断名は、大変ありがたい病名です。
ノロウイルスなどの「ウイルス性の胃腸炎」も、「細菌性胃腸炎」も
すべて包含されているからです。
予防は、まず敵(ウイルス)をよく知ることから始まります。
知っているようで、何も知らなかった「ノロ」ちゃん。
「ノロ」ってどことなく可愛く感じる名前ですが、Norwalkという地名から来ています。
1968年、オハイオ州Norwalkの小学校で発見されたウイルスです。