《0325》 施設か在宅か「大規模多機能」か [未分類]

かいご学会に参加して、認知症療養に多くのヒントをもらいました。
「この国には、様々な認知症介護の形がある。要は本人・家族の満足度なのだ」
と改めて思いました。

在宅医療に携わっていますが、在宅原理主義者ではありません。
在宅のよいところも沢山ありますが、欠点もあります。
欠点はまず、ご家族が安心してよく眠れないことです。

家族がいない独居はその点、在宅管理が単純です。
本人と医療・介護者の二者しかいませんので、楽です。
独居の在宅看取りが、こんなに荘厳とは知りませんでした。

かいご学会中に、こんな発言もありました。
「大規模多機能」の提言、です。

実は「小規模多機能」というカテゴリーの介護施設があります。
主座は自宅ですが、デイケアやお泊りなども自由に組み込めます。

私の周囲にも1カ所しかなく、実物を見た人は少ないでしょう。
これは、昔の「宅老所」の発展型と言われています。

空き民家を活用して小規模でも地域密着の施設とのコンセプト。
発想はよいのですが採算性が悪く、思うように普及していません。

ならば、廃校する小・中学校の校舎を有効活用すればどうか。
給食もトイレも遊び場(校庭)もある。

「放牧療法」も可能です。
ないものは浴室くらい。
新規投資はこれだけで済みます。

色々な事情で、閉鎖されそうな公立病院を見ても同じことを
思ってしまいます。
見るもの見るもの、「大規模多機能」を想像してしまいます。

ハコモノを新たに作るのは、この経済状況では無理でしょう。
ならば、既存のハコモノを有効活用してはどうでしょうか。

多くの介護事業者に入ってもらうので自然な競争が生まれる。
大きいと人の目も多く透明性も高まるので悪徳業者は入れない。

地域のボランテイア組織にも自由に入ってもらえるようにする。
いいことだらけだと思うのですが……。

町医者、在宅医として、それくらい認知症療養に困窮しています。
認知症療養の本当の姿はなかなか表に出ないので皆さんも知りません。
しかし我々は、相当厳しい現実に毎日対峙しています。

「かいご学会」の余韻がまだまだ続いています。
「はじめての認知症療養」という冊子も今、作っているところです。

そして、ここでも「大規模多機能」という提案をさせていただきます。
「多機能」とは、デイ、ナイト、お泊りが自由自在という意味。

家と施設を自由に行き来できる。
こんな便利な療養環境が実現できたらいいと夢想しています。