《0331》 「疎開」という選択 [未分類]

続々と起こる想定外の事態に、ただただ祈るだけです。
地震、津波、原発、計画停電、そしてまた地震……。
慌てず冷静に情報を集めて自分の頭で考えることです。

阪神大震災の時の経験は、今回、あまり役に立ちません。
規模、範囲、津波、輸送路、放射能、すべて異なります。
しかし、水や食料など日常生活のご苦労は想像できます。

実はあの時、安全地帯に「疎開」した方が沢山おられました。
私は野戦病院と化した病院に留まりましたが、三田や笹山や姫路に
疎開された方々を、内心、羨ましく眺めていました。

医療者も市民も「避難」する人は、されていました。
それを「逃げる」と言うのは、酷だと思いました。
この国では、留まるのも、逃げるのも、基本的に、自由です。

重病人は、できるだけ早期に、あらゆる手段を使って、
平穏な地域の病院に搬送(=避難)するべきだと考えます。

被災地での医療活動には当然、限界があります。
老人や衰弱した人や妊婦さんなどにも、「疎開」という選択肢が充分あります。
親戚や知人を頼ることは、悪いことではありません。

公務員や医療者や自衛隊員など、職務上留まらなければいけない方々と、
一般人は、全く別ものだと思います。
家族や親戚など、様々なしがらみもあろうかと思います。

現在、「疎開」を希望される方は皆無に近いと聞いています。
しかし「疎開」という選択は、頭の片隅に置いておくべきです。
復興までの時間を考えると、「弱者」ほど、その可能性があります。

阪神大震災の時、疎開された方の中には、現在も疎開先で
暮らしている方も大勢おられます。
今でも、つらい記憶の場所に近づけないという事情もあります。

まだ安否確認さえできていない状況では、不謹慎かもしれません。
しかし、壊滅地区の避難所で寒さに震えておられる「弱者」には、
「疎開」という名の「避難」もあることを敢えてお知らせします。

16年前、阪神大震災において「疎開」の現実を見た者として、
参考までに書いてみました。

疎開は、悪い選択ではありません。
弱った方や妊婦さんたちの疎開を、全国で受け入れましょう。