《0338》 「心のケア」と言うけれど…… [未分類]

私は本当は「心のケア」という言葉が好きではありません。
被災者も救助者も全員が、身も心も傷ついているからです。
それを敢えて「心のケア」と言われたら、余計に悲しい……。

しかし、今は、精神的にかなりつらい時期だと想像します。
私も16年前のこの時期、かなりおかしくなっていました。

被災地のみならず、日本全体に不安な空気が漂っています。
かといってずっと暗い気持ちでいてもご供養になるとも思えません。
亡くなられた多くの方に想いを馳せながら心静かに過ごしたいもの。

私は、心のケアの専門家でも何でもありません。
しかし、今こそ思い切り泣いていいと思います。

1人で、あるいは家族・友人・仲間たちと。
つらい体験をお互いに話して、とりあえず「外」に出すべきです。

お喋りな人には、ストレスは溜まりにくいように思います。
11日間、押し殺してきた感情を排出する時期だと思います。

それと何よりも、「睡眠」でしょう。
充分寝るだけで、元気が戻ってきます。
そして、温かい「食事」と「お風呂」かな。

しかし、寝られなくなった人も大勢いるでしょう。
睡眠薬を飲んでもいいですが、お酒と一緒に飲まないでほしいです。
睡眠薬を飲みながらも、薬に頼らないような工夫をすべきでしょう。

あれだけのことが起きたのです。
おかしくなるな、という方が無理でしょう。
生き残った方々には、何としても生き抜いてほしい。

そのためには、気分転換です。
小旅行がてら、ちょっと遠くの空気を吸うのもいいでしょう。

本来なら、本物の温泉を被災者には低料金で開放してほしい。
16年前は大阪のウェスティンホテルが5千円で泊めてくれました。

結構よい部屋で、美味しい朝食が付いていました。
風呂に入って美味い飯を食べたら、見事に「生き返り」ました。

作家の田中康夫さんが、朝食を摂りながらボランテイア活動の
打ち合わせを真剣にされていました。
3回の朝食とも、偶然にも横で打ち合わせをしていました。
そう、調子にのって、3回も気分転換に泊まらせていただきました。

今回の被災地はあまりにも広大過ぎて、こんな話は失礼かもしれませんね。
しかし、折れそうな心を何とか折れないように耐えてほしい。

それには、話を聴いてくれる人間の存在が必要だと思います。
人間を助けられるのは、人間だと、16年前教えられました。