《0350》 被災地の「感染症」と「血圧」 [未分類]

今被災地で最も気になる病気は、「感染症」と「血圧」です。
インフルエンザとノロウイルスが流行しているそうです。

私の尼崎でも被災地と同様に二つの感染症が流行っています。
これらの感染症は発見が遅れると命に関わることもあります。

その予防には、被災者同士、お互いの気遣いが大切です。
もし手洗いの水がなければアルコール剤を使ってください。

飛沫感染を避けるため衝立を置くなどの工夫も必要です。
ノロウイルスの集団感染を防ぐにも、手洗いは重要です。

排泄物・吐物が感染源となります。
飛沫感染も起こします。
充分に加熱してから食べることが大切です。

瓦礫処理時の負傷による破傷風が散見されています。
スマトラ沖地震の際は震災2~3週間目に増加したそうです。
釘を踏んでしまったら、傷をしっかり消毒すること。

被災地では、ストレス性の「タコツボ型心筋症」、
心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患が1・5倍~2倍に増えます。

被災後2~4週間で多くの人の血圧が5~15も上がるそうです。
4週間を過ぎても血圧が低下しない場合、注意が必要です。

自宅の全壊や、親類の死など大きな悲劇に見舞われた人ほど、
病気になりやすいことが分かっています。

心筋梗塞や脳卒中は、不眠・睡眠不足が原因になります。
プライバシーを確保し、充分な睡眠を取ってください。

2次災害で命を落とす人が出ないよう声かけも大切です。
脱水になれば血液の粘性が高まり血栓が出来やすくなります。
1日1リットル以上の水分摂取を心がけてください。
また被災すると塩分がほしくなりますが減塩をお願いします。

3週間が経過し被災地の医療は急性期から亜急性期に移っています。
既に、心身ともに疲れはピークに達していることでしょう。
「免疫能」が低下しないように、「ひといき」入れてくださいね。

避難所から離れて外の空気を吸うことも大切です。
当院の横に「疎開」して来られた8人の方も、尼崎で「ひといき」入れてから、
昨日、被災地に戻られました。

お別れの挨拶を交わしていたら、お互いに涙が出てきました。
彼らは、帰る家が流されてしまって、ないのです。
まさに、またゼロから出発です。

しかし
「尼崎の人の恩は忘れない」
「尼崎はとてもいいところ、人間が温かい」
など、尼崎の感想を残していただきました。

お世辞であっても嬉しかったです。
震災によって生まれた奇遇。

彼らは「免疫能」を少し貯金してから、元気に戻られました。
疎開の効用を、避難所の方々に伝えていただくようお願いしました。