《0354》 村長さんの決断 [未分類]

福島県飯舘村は自主判断で、30キロ圏外であっても、妊婦や乳幼児を
村外に避難させることにしました。
私は正しい判断だと思います。

また20~30キロの屋内退避圏でも、政府からの指示が出ないため、
圏内に戻ってくる住民が増えているそうです。
これも正しい判断だと思います。

福島県飯舘村では、放射線量の積算値が高まりつつあります。
飯舘村の大気や土壌の放射線量が高いことが判明しています。
飯舘村は一部が屋内退避圏にかかりますが多くの集落は圏外です。

これを見た村長さんは方針を転換することにしたといいます。
妊婦や乳幼児らを福島市内の温泉地などに移動させるそうです。
とても勇気のある村長さんだと、私は高く評価します。

移動対象は3歳以下の乳幼児約100人と妊婦約10人。
避難に伴う費用は県が負担するそうです。
村は7日に区長会で計画を説明して、希望者を募ったそうです。

村の人口は約6100人。
村によると、一部の住民は自主避難したが、その後戻った人もおり、
現在は5千人ほど残っているという。

今後は、原発や放射線量との長い長い闘いになります。
国から明確な指示が来なければ、現地判断となります。

非常時には、現地の「個」の判断が人の命を救います。
志の高い医療者は、市民が1人でも残っていれば逃げません。

そのような覚悟を持っていますが、最後まで残りたいという市民に
自分から避難を勧めることはしませんし、できません。

残ることも移動することも、個人の自由です。
移動先には何の制限もなく、選択肢は無限です。
情報を集めて、最終的には自己判断になります。

医療とどこか似ています。
手術を受けるのか受けないのかは、最後は「患者」の選択です。
そのような「患者」の判断を邪魔しない、支援するのが「医師」の立場。

この「患者」を被災民に、医師を「国」に置き換えてみてください。
国は、「避難」という現場の判断を必ず支持・支援するはずです。
今必要なのは、飯舘村の村長さんのような「個」の判断です。

阪神大震災と同じことが繰り返されています。
デジャブ。

年末に出版された、拙書「震災が教えてくれた町医者力」には、
非常時には「個」の判断が多くの人命を救う、と書きました。

個が公を動かします。
個の判断が人命を救います。
今こそ、勇気のあるリーダーが、決断する時です。