《0036》 便潜血で命拾いした大腸がん患者さん [未分類]

勤務医時代は、大腸内視鏡検査に明け暮れていました。
便潜血反応陽性の方が、続々と市民病院に送られてきました。
来る日も来る日も、人の腸の中を覗いていました。

大腸内視鏡で有名な新谷先生は、ご自身の著書で、「腸を診ればその人がどんなものを食べているか分かる」と書かれています。
大勢の腸を覗いていると、彼の気持ちが何となく分かります。

大腸がんは、肉食、油ものの好きな人に出来やすいがんです。
胃がんなら、胃がん独特の顔貌があります。
あくまで経験です。
しかし、大腸がんは進行したがんがあっても、顔には艶があり、顔色で判断すると、騙されるがん、です。

しかし、便潜血反応は正直です。
この検査は2本取って、1本でも陽性なら、「陽性」と判定します。
ただし、「便潜血陽性=大腸がん」では、決してありません。
痔や大腸ポリープが大半で、一部に、がんが見つかります。
しかし、この検査で命拾いした方が何人もいました。

「便を取る」と言うと、昔の検便を想像する方が多いのですが、爪楊枝のような棒を便に刺すだけです。
2本の棒は、医療機関に郵送することも可能です。
こんな簡単で苦痛のない検査で、無症状の大腸がんが発見されるのですから、改めて、すごい検査だと思います。
便秘でお悩みの方、ご家族に大腸がんの既往のある方は、ぜひ、一度受けてほしい検査です。