多くの方が防護服を着て原発の処理にあたっておられます。
レベル7の中心地での労働の過酷さが、報道されています。
私は彼らの健康管理が心配でなりません。
放射線被曝は、フィルムバッジという小さなもので測ります。
昔の話ですが、勤務医の時、私はバッジをもらいましたが、
着けませんでした。
着けると許容量をオーバーして仕事ができなくなるからです。
私は、産業医であり労働衛生コンサルタントでもあります。
普段の診療以外にいくつかの企業の「産業保健」に携わっています。
多くの労働者の健康を守ることが、産業医としての私の任務です。
産業医の仕事は、以下の三つです。
(3管理と言います)
- 健康管理(健康診断や事後処置)
- 作業管理(無理な作業をしていないかのチェック)
- 作業環境管理(作業環境が劣悪でないかのチェック)
雇用主は、労働者の健康を守る義務があります。
守らないとお上から罰せられます。
どこの企業も、この規則をちゃんと守っています。
さて、産業医の立場にたつと現地の労働者の3管理が心配です。
防護服で放射線をちゃんと防護できているのか?
もし防護できていなければ、ちゃんと医療が受けられるのか?
働いているのは、東電関係の職員だけではありません。
現地の若者、全国からの応援部隊、様々な企業の関係者……。
彼らは、放射線という見えない敵とまさに闘っています。
さらに、闘っているのは、原発作業員だけではありません。
多くの自衛隊、警察、消防などが、原発周囲で働いています。
同じ日本人の仲間が、今、戦場で闘っています。
彼らは、全員、労働者。
労働者には、必ず雇用主がいて、産業医がいます。
雇用主の責任で、3管理がちゃんとできているのでしょうか?
正確には、産業医は50人以上の事業所の義務です。
50人以下の事業所には、地域産保センターが管理します。
私も尼崎の地域産保センターとしての仕事もしています。
これから後の放射線障害が心配です。
何年、何十年経ってから出る病気もあります。
野菜がどうのこうの報道されていますが、一番危ないのは作業員。
もし、自分の身内が、現地の作業員だったらどうでしょうか?
心配で眠れないと思います。
日本で最も危険地帯で闘う現地作業員に想いを寄せ、守る時です。