《0394》 それぞれの防災 [未分類]

ほぼすべての被災地を訪れて考えました。
どうやったら津波から逃れられるのか。
完全無欠の津波対策はあるのか。
特に老人や障害者は、どうして逃げるのか。
具体的にイメージしてみました。
町々によって、防災対策は全く異なります。

ここから下がすべてアウトという境界線がありました。
わずか1メートルの高低差が天と地ほどの差になりました。

平地の部分がどれくらいあるのかで、防災が異なります。
平地からすぐ丘に続く町は、丘に向かって走ればいい。

老人や障害者を背負って、ひたすら走れば逃げられる。
普段から「老人背負い逃げ」の訓練をしておけばいい。

一方、平地から丘までの距離がある町も沢山あります。
そこでは様々な建物にすがるしか方法がありません。

2000人の命を救った小学校の屋上もありました。
高い病院ならば屋上に避難誘導することが大切です。
しかし短時間にそれができるのか、訓練が必要です。
5階以上の団地等の民間建物の活用も、検討すべき。

周囲にそうした高い建物が全くない地区もありました。
そんな地区には、避難塔のようなものの設置が必要です。
とにかく若い人が老人を背負ってそこにたどり着ける。

時間と高さ、との勝負です。
30分以内に、高度20メートル以上の場所にたどり着けるか。
曖昧な表現ですが、そんな気がしました。

私の地元、尼崎市(海抜ゼロメートル地帯)を見渡しました。
小学校は低過ぎます。
高層の民間マンションや高層ホテルの活用しかありません。
普段から地震時の避難所としての協力依頼・周知が必要です。
日本は海に囲まれた島国ですから、すべての沿岸部で必要です。
それぞれの町にそれぞれの防災がある、のだと思います。

ある地区では、津波を全く予想していなかったと聞きました。
過去の大地震の時に出された避難指示の、解除がなかった。
そんな経験が狼少年となり「油断」を生んでしまいました。

今後も地震のたびに、津波警報や避難指示が出ることでしょう。
大切なのは、避難指示をちゃんと解除してあげることです。
それがないと、狼少年現象が起こってしまいます。

普段から防災意識を持つかどうか、に尽きます。
持つと持たないでは大違い、だと思います。
被災地を巡り、そう実感しました。