《0395》 いわき市からの避難者との別れ [未分類]

この2カ月間、クリニックの隣に疎開して来られていたいわき市の新妻さん夫妻、佐藤さん夫妻とお別れです。
今週末に、いわき市に帰られます。

一緒に、お花見をしたり、いろんなお喋りをしたり、本当に楽しい時間を過ごしました。
彼らは尼崎の町を気に入ってくれました。
お世辞ではなく「住みたい」、と言ってくれました。
本当に嬉しいことです。

私も、いわき市がどこにあるのか、初めて知りました。
あまり報道されていませんが大変な状態であることも。
お互いに、初めて知ることだらけでした。

震災がなければ、尼崎市民といわき市民が出会うことは、絶対になかった。
そう考えれば、まか不思議なご縁です。

新妻さんは、自宅が津波で完全に流されました。
しかし、その後どうなっているのか知りません。
身内の人が報告してくれるだけだそうです。

所有されているアパートを仮設住宅代わりに借り上げたいという依頼書が、尼崎にいる彼らに届いていました。
沢山の調査項目が書かれています。
なかでも「耐震基準をクリアしているか?」との質問に、どう答えるか困っておられました。
そんな用事もあり、いわき市に帰ることになりました。

といっても、自宅はありませんから仮住まいになるそうです。
このように、実は、いわき市も被害が大きかったのです。

現在は、原発周囲の町の受け皿で、さらにまた大変です。
途中で家族の所に寄ったり、足の悪い方がいるので、いわき市から、わざわざタクシーを呼び寄せるそうです。
10万円以上の交通費がかかります。

私があれほど呼びかけた「被災者交通無料パス」は、永田町の政治家たちには、何の興味もないようです。
今後、復興や仕事探しのために移動は大きな課題です。
すべてを失った被災者に、移動手段という現物給付をする提案のどこがダメなのでしょうか。

偉い人たちは、県外への人口流出を心配しているのでしょう。
しかし、絶対にそれはありません。
東北人は郷土愛が強い!移動の自由を保障することは、イコール故郷を捨てないこと。
移動が自由にできないから、移住してしまうのです。
自由にできれば、故郷に「通勤」もできるのです。
どうしてそんな想像力もないのかな……。

もし無料なら、彼らはまた、尼崎に来られます。
タクシー代に20万円も払うなら、二度と来られないでしょう。
今こそ、交通費問題が大切だと思うのですが……。