《0400》 後世への伝承 [未分類]

GWの最中、ある被災自治体の防災会議を傍聴しました。
安否確認が、まだ重要な課題でした。
遠くの町に避難していることが判明した人が、いました。

防災会議の今後の目標を、訊いてみました。
仮設住宅の建設、孤独死や自殺の予防などでした。
沢山の目標に混じって「後世への伝承」がありました。

「津神社」と書いて、「つのみつ神社」と読むそうです。
「400年前の津波がここまで来たよ」という印の神社です。
その場所まで津波が満ちたのです。

周囲の人は小さい頃からその伝承を聞いて育ちました。
その神社より高い所に逃げなさい、という言い伝えです。
それが頭に焼き付いているため、反射的に逃げました。
それで、その地域では津波の犠牲者は少なかったそうです。

そう言えば、地元・尼崎にもそのような目印があります。
昔の大きな台風の時、ここまで浸水したという標識です。

津波も原発も、一部は、検証段階に入っています。
検証は、大切な作業です。
同じ間違いを犯さないためです。
それでも間違いを犯すのが人間というものでしょうが、「言い伝え」を残すことが残された人間の義務でしょう。

400年前の先祖の「検証」が、今回多くの命を救った。
これは事実です。
地域のDNAが、間違いなく活きていたのです。
そして、今回も、400年後に活かさねばなりません。

「後世への伝承」を、早くも掲げている自治体があります。
人間の考えることは、たかが知れているのかもしれません。
それでもそれを続けることが「地域の伝統」なのでしょう。

防災とは、「先人からの伝承」と、「今人の知恵」の融合、であると感じました。
それぞれの地域でそれぞれの防災を考える、しかありません。