《0409》 ヘドロにまみれたカルテ [未分類]

今日から6月。
しかし、被災地の最低気温は、6度と聞いて心配です。
まだまだ厳しい避難所生活の方をいつも想っています。

宮城県女川町立病院は、立派な高台に建っています。
誰がどう考えても、そこには津波が来るはずがない。
しかし、津波が襲いました。

信じられないことに、1階部分が水没しました。
私が訪れた時は、1階のカルテ室やレントゲン室はヘドロで壊滅状態でした。
ヘドロの除去をする看護師さんたちを眺めていました。

2階より上で、何とか診療、入院管理が行われていましたが、病院機能の大半が失われていました。
気になったのはカルテです。
凡医はカルテがないと診療できません。
電子カルテではなく、紙カルテでした。

今日の午後は、介護保険認定委員会です。
これも、紙の書類をめくりながら行います。

被災地のカルテや介護保険関連書類は流されました。
ヘドロを洗い流せば、少しは見えるかもしれませんが、介護認定には、大変なご苦労をされていると想像します。
過去のデータが消えることを普段は想定していません。

医療界は、電子化が最も遅れている分野です。
電子化できないのは、様々な理由があります。

クラウド化には、さらに高いハードルがあります。
それは「万全のセキュリティー確保」という難問です。

医療情報という個人情報には、高いセキュリティーが必須。
それ故に医療は、クラウドの恩恵をあまり受けていません。

診療所の電子カルテの普及率は、まだ20%弱。
私の診療所も、まだ電子化できていません。
ミミズが這ったような汚い字で毎日書いています。

今回の震災で、医療・介護の電子化がさらに進むでしょう。
同時に、クラウド化がされていないとヘドロを被ると、過去の情報がすべて流れ、失われてしまいます。

戸籍や住民票などは助かったのでしょうか。
役所が流された町は、本当にご苦労されているでしょう。
しかし自治体クラウドは医療よりはるかに先を走っています。

今回の津波で、クラウド型電子カルテが進むのではないか。
良い悪い、好き嫌い、というレベルの問題ではありません。
ヘドロにまみれたカルテを見れば、誰でもそう思うでしょう。