《0045》 食道がんの発見は「狙い撃ち」 [未分類]

食道がんは、やっかいな病気です。

手術が成功しても、小腸を胸まで釣り上げて再建しているので、なかなか思うように食べられません。
また、術前・術後の、放射線や抗がん剤治療もつらいものです。
ゲッソリ痩せた患者さんのケアをよく頼まれます。
まるで、ボクシングのセコンドのようです。

食道がんは、特定の人にできるがん、と言っていいでしょう。
特定とは、50歳以上の男性、大酒家、喫煙者の三つです。
3拍子揃った方は、胃カメラの時に担当医に必ず頼んでください。
「私は、酒とタバコをしますので、喉と食道を念入りに診てください」と。

もちろん、言われなくても、頑張って診るのですが、特に気合を入れて診ないと、
「早期食道がん」の発見は困難です。

食道がんの早期発見こそ、内視鏡医の腕がもろに出る病気はありません。
これは、ここだけの話ですよ。
腕の差を補うため(冗談です、本当はよく見えるようにするため)、
怪しい方には、ヨード色素を食道全体にまいて観察します。
食道がんの部分は、ヨードに染まらないので、そこを生検します。

食道の壁には、「漿膜(しょうまく)」という後ろ立てがありません。
したがって、がんができると素早く、食道の外のリンパ節に転移します。
これが、食道がんが厄介である理由です。

腕のいい内視鏡医が見つける食道早期がんは、内視鏡治療が可能です。
これは「早期の中の早期がん」と言っていいでしょう。
早期発見できれば、内視鏡での治療技術は驚くほど進歩しています。
とにかく、食道がんの早期発見には、50歳以上、男性、お酒、タバコを「狙い撃ち」することなのです。