《0463》  震災と介護 [未分類]

昨日は、兵庫県介護福祉士会に呼んでいただき、
神戸で「震災と介護」という講演をしました。
2時間では、思いの半分しか話せませんでした。

ある特養は、当初は避難所を兼ねていました。
定員100人の施設に、800人の避難者。
仕切りと食糧確保が、大変だったそうです。

被災地の特養では、死亡率が例年の3倍です。
環境の変化、疎開地への長時間の移動などのストレスが、
死亡率上昇の原因なのでしょう。

何か特別な原因があるわけではありません。
寝たきり老人は予備能がなく災害弱者です。

介護においても、感染症対策が重要です。
古典的だがノロとインフル対策が基本形です。
正しい消毒法や手洗いを啓発する必要があります。

あとリアルタイムの感染症情報をネットで集めることが大切。
東北大学の感染危機対策室のHPをぜひ覗いてください。
サーベイランス結果や助言がちゃんと広報されています。

PTSD、うつなどのメンタル管理もますます重要です。
伴侶を失い、家も職場も失い、コミュニティも失う。
遺体がまだ見つからないというのも強烈なストレス。

大きな悲嘆、極限の苦悩とどう向き合っていくのか?
ここでも二重ローン問題が重くのしかかってきます。
頑張っても報われなければうつになるのは自然の理。

一方、放射能という見えない敵と見えない長期の戦争。
終わらないのが原発問題。

すごいストレスだと思います。
彼らは情報不信や情報不足とも闘い続けねばなりません。

被災者のみならず、医療・介護者、自衛隊員、機動隊員など
遺体収容に関わった人のPTSDが懸念されています。
おかしくなる方が普通と考えておくべきでしょう。

ボランティアで行っても無力感で帰ってくる人が多い。
遺体確認ボランティアには、PTSDやうつの予防が大切。
とりあえず元気な人しか、被災地に行ってはなりません。

一昨日、亘理駅で福島医大のメンタルチームを見かけました。
経験豊富な臨床心理士らは「傾聴」から入るのでしょうか。
やはり専門家によるカウンセリングは重要です。

介護とメンタルはこれからが本番です。
冬の前に、知恵を出し、汗をかく時。
昨日のような祭りは、あった方がいい。

今後、孤独死、うつ、自殺、アルコール依存症が懸念されます。
「天災」を「人災」に成長させない取組みが必要です。