《0474》  東大・上研究室の活動 [未分類]

東京大学の上昌広教授を中心とする研究室の医師らが、
被災地・福島県で頑張って活動しておられます。
上先生には日々、沢山のことを教えて頂いています。

上先生らは、相馬市役所にほど近い場所に研究室を
構えています。
東大の研究室の出張所のようなところです。

私も2回ほどお邪魔しました。
医師らは、その建物の横で寝泊まりされています。
ちょうど、クラブ活動の合宿のような感じです。

相馬市、南相馬市の住民の健康診断や、放射線障害の
説明会を何度も開催、巡回されています。
この検診には、先日、立谷清秀・相馬市長も加わりました。

立谷市長は、内科医でもあります。
白衣を着て聴診器をかけた市長に、市民は驚いたでしょう。
どこまでも凄い市長さんです。

今週末は飯舘村村長に頼まれて住民検診を行うそうです。
同時に放射線障害に関する調査も、行う予定だそうです。
やることが山のようにあると思います。

彼らは、普段は勤務医として働いています。
週末を利用して、福島でボランテイア活動されているのです。
素晴らしい行動力に頭が下がります。

私自身も30年前、長野県下伊那郡浪合村で無医地区活動
に明け暮れていました。
村の家々を回り、血圧を測り減塩指導をしていました。

無医地区研究会は、村の公民館の2階で雑魚寝でした。
昼は活動、夜は宴会の毎日でした。
どうしてもそれと重ねて見てしまいます。

まさか東大の偉い先生がそんなボランテイアをしているなんて。
嬉しいような、信じられないような。
上先生に共鳴したボランテイア医師たちも集ってきています。

医療の原点は、地域にあります。
地域とは各家庭です。
巡回診療、巡回検診が、医療の基本形です。

長野県佐久総合病院の若月俊一先生は、見事な実践をされました。
現在でも、若月先生のスピリットは、深く根づいています。
長野県が医療費が低く、長生きなのはこの辺がヒントでしょうか。

先日、「現実を直視すること」と書きました。
上先生らは、まさに直視しながら、住民とともに歩んでいます。
ボランテイアだから出来るんだとの意見もあるかもしれません。

しかし、逃げる医師あれば、入る医師もあり。
実際に「行動」されている彼らに敬意を払っています。
多くの理屈より、ひとつの行動です。

上先生は、血液学の専門家です。
被ばく医療と専門が一致しています。
是非、長期的データも取って役立てて欲しいと願います。

本来は、彼らの様な現場に飛び込んで長期的に活動する
医療者達を支援するシステムも考えなければいけません。
また、福島に残って診療する医療者の支援も同様です。

これらは、政治の仕事でしょう。
福島に医者が集まり易い仕組みを考えなくてはいけません。
被ばく医療という医学・医療も発展させる必要があります。

今日は、勇気ある実践者たちをご紹介いたしました。
私は紹介するだけでお手伝いできていないので心苦しい。
しかし同じ医療者としてエールだけはしっかり送ります。

PS)
昨日は、大阪の某病院で在宅医療と終末期医療に関する
講演をいたしました。
胃瘻を依頼されても断る病院があることに驚きました。

もちろん、適応があれば胃瘻を造ります。
しかし、適応が無ければ、断るそうです。
不用な胃瘻を入れないようにしているそうです。

そんな病院があることに、正直、驚きました。
最近、胃瘻の話をしていますが、だいぶ議論が
深まってきました。

明日は、京都で、原発作業員の放射線被曝に
関して講演します。
さてどうなることやら・・・。