《0513》 世界自殺予防デーと被災地 [未分類]

9.11の陰に隠れていましたが、実は
9.10は、「世界自殺予防デー」でした。
そんな記念日が、ちゃんとあるのです。

13年連続で自殺者が3万人を超えています。
震災の犠牲者と比べたら不謹慎かもしれません。
しかし3万人ってすごい数字だと思いませんか?

2010年の自殺者は、3万1690人でした。
男性22283人、女性9407人。男は弱い!?
津波の犠牲者も自殺者も、数字がきっちり出ます。

原因や動機が分かったものが、7割強。
健康問題が47%、経済・生活問題が22%と続く。
ここまで聞くと、震災の影響が心配です。

健康も経済も生活もすべて行き詰まっているのが被災地。
被災地では少なからぬ自殺者が出ていると聞いています。
自殺予防デーは、実は被災地にも大いに関係あるのです。

各地で自殺予防の相談会が開かれています。
震災関連自殺の増加が、懸念されています。
でも自殺は防ぐことができるのでしょうか。

たとえば今年前半の自殺者は、増えたか、減ったか?
実は4~6月の自殺者は前年同期より5~21%増えた!
恐れていたことが、被災地では現実になりつつあります。

拙本に書いたとうりのことが現実に起こっています。
しかし本に書いたことは、国は全くしてくれない。
何とももどかしい気分です。

一人の命を救うために救命チームは夜を徹して働きます。
NICUでは小さく生まれた命を看護師が必死でケアします。
その一方で、もの凄い数の人が自ら命を絶って行く現実。

このギャップをどう考えればいいのか?
町医者にいったい何ができるのか?
大きなジレンマに悩みながら日常診療しています。

津波は、防災で防ぎ、
自殺は、予防で防ぐ。
どちらも簡単ではないですが、大切な課題。

自死遺族の会というものもあります。
遺族からの電話相談にのっています。
地味ですが、とても大切な活動です。

私も自死遺族。
そこから「死」への興味が始まりました。
遺族の辛さは多少は分かっているつもりです。

今年の世界自殺予防デーはいつもの年と違う気分。
現在進行形で、自殺予備軍が増えているからです。
被災地対策は、強力な自殺予防策でもあるのです。