《0516》  受診時のメモ [未分類]

良い患者の条件として、医師に言いたいことを
予めメモすることが、よく書かれているようです。
詳しいメモを片手に受診されるが必ず毎日います。

たしかに最初は大助かりです。
いちいち聞く手間が省けます。
コピーも、させてもらいます。

毎回言いたいことを10点もメモして
診察室に入ってこられる患者さんが、
必ずある一定の確率でおられます。

正直これには引いてしまいます。
質問に答えるだけで精一杯です。
防戦一方で、攻める暇がありません。

血圧を1日3回測ってこられる患者さん。
血圧は毎回違うし日によっても違います。
血圧は大事ですが3回を指示したことは無い。

血糖も同じです。
インスリンの方はせいぜい1日1回でいいのですが、
1日3回以上、自己測定する患者さんがおられる。

さらに体温、脈拍、体重も書き加える患者さん。
ここまで行くと、立派な入院カルテのようです。
驚くくらいメモに熱心な患者さんがおられます。

「書くだけダイエット」で驚くほど痩せるひとがいる。
毎日食べたものを書き出すだけで、本当に痩せるのです。
これは現実を知ることが、行動変容を促す例です。

普段あまり意識していないことを、ある目的のために
ある一定期間、意識することで病気が治ることがある。
これが本当のメモの効用だと思います。

自分の身体に気が行く人と行かない人がやや極端です。
すごく気にされる方と、あまりにも無頓着な方がいる。
できればその中間、中庸を目指して頂ければと思います。

放射能に関しても同様です。
関西にいても自分の周囲の放射能汚染が
心配で心配で眠れないという人もおられます。

自分の身体サインや放射能測定の結果を気にし過ぎて
精神不安定になる方には安定剤を処方することもあります。
あまり表に出ませんが、そうした患者さんが増えています。

手帳にビッシリ、メモが詰まっているひとがおられます。
これは「メモの証」と呼ばれ、喉が詰まってくる事がある。
咽頭神経症という病気ですが、半夏厚朴湯が著効します。

バイタルサインには、心の不安はあまり表現されません。
世の中全体に「不安の雲」が渦巻いているような気がする。
しかし不安が強い人には、それなりの「支援」が必要です。

適度に知って、適度に恐れることが大切です。
「正しく恐れる」ことは、意外に難しい気がします。
そのバランスがいい人の健康度が高いように感じます。

聞きたいことをメモすることはたしかに大切です。
しかしそのメモを忘れたと、頭をかく人もいます。
覚えられる程度、3つまでにして頂けると助かります。

和歌山や奈良ではボランテイアの募集が始まりました。
まだまだ予断を許さない、大変な状況のようです。
東日本大震災のみならず、水害のことも考えなくては。

今後、様々な自然災害を想定して暮らさなくては
いけない雰囲気に世の中全体が、なってきました。
過度に不安にならず、適度に防災意識を高めること。

メモは、紙ではなく、心の中に書くべきでしょう。
心の準備は、不安やストレスをを、軽減させます。
難しいことですが、私も少しずつ心がけています。