《0519》  丸に近い三角 [未分類]

松本は涼しい、と昨日、書きました。
しかし松本の人は「暑い!」と言っていました。
それでもやっぱり、松本は涼しい!

昨夜は、学会場で30年前に大学のクラブの
先輩先生(松本市で御開業)と再会しました。
当院のスタッフ、仲間、先輩先生たちと懇談した。

住みなれた地域で最期まで住んで死ぬ。
こんな単純な命題が叶わない現代医療。
その極意を学びに松本に来ています。

午前は「自ら望む所で生き、死ねることの幸せ」、
諏訪中央病院名誉院長 鎌田實先生のご講演を
拝聴しました。

チェルノブイリ事故での診療のご経験、そして
今回の福島県南相馬市や飯館村で巡回診療の経験
から福島の今後について述べられました。

ジャズのBGMをバックにした語り。

がんばらないけど、あきらめない。

命が大切か、生活が大切かと、よく
言われるけれども、両方とも大切だ。
答えはひとつではない、と話された。

在宅ケアも同じ。
在宅と病院の二者択一ではない。
丸に近い三角を探すのです、と。

断定しない。
かたくなにならないこと。
凝り固まらないこと。

これが鎌田先生のメッセージでした。

地域の「絆」がないと
在宅ケアは成立しません。
地域には豊かな「絆」があり、自由がある

自ら望む所で生き、死ねることの幸せ
を、あらためて実感しました。

その後、在宅医療の祖、黒岩卓夫先生のご講演も拝聴。
60年安保から現在までの医療課題をレビューされた。

・予防と治療の一体化
・そして、福祉との連携
が、黒岩先生が歩まれた軌跡でした。

「地域包括ケアシステム」とは、
厚生省が提起する、今後の医療の核心です。
分かったような分からないような概念ですが。

平成24年からは、
・24時間体制の介護と、
・そのシステムを支える医療、が始まります。

高齢者の「居場所」づくりとは、
1 介護サービスの充実強化
2 介護と医療の連携強化
3 予防の推進
4 多様な生活支援サービス
5 居場所の問題(国土交通省)、が大切だそう。

「安心」とは、
居心地がいい場所、今日1日の満足、そして
家族性、地域性、精神性の3拍子が揃う事、だそう。

いくらいい在宅医療があっても、いい在宅ケアが
無ければ、本人や家族の安心は得られません。
地域包括システムと在宅医療の充実が両輪です。

在宅医療は地域医療の充実の中に止揚される。
と、黒岩先生は熱弁を震われました。
黒岩先生は最も尊敬しているお医者さんです。

鎌田實先生と黒岩卓夫先生という在宅医療の
2代巨人の対談は大変見ごたえがありました。
私も偉大な先人たちを少しは見習わなくては。

今日も、朝一番から重要な企画がめじろ押し。
デンマークと日本の医療の比較が始まります。
大熊由紀子さんと小山剛さんが登壇されます。

医療も介護も、課題解決にはまだまだです。
しかし認知症患者は待った無し!でもあります。
さあ、朝一番から頑張って勉強してきまーす。