《0524》  国民皆保険制度とは [未分類]

昨日5人の中医協委員が大阪に集合しました。
中医協始まって以来の出来事だったそうです。
医療フォーラムIN大阪、の司会を務めました。

5人の講演と10の医療テーマについての議論で、
あっという間に4時間が過ぎました。
医療界に山積する問題の膨大さを再認識しました。

今日は、国民皆保険制度を考えてみましょう。
この制度が昭和36年にできて、50年が経過。
もう空気のように当たり前の制度に思えますね。

中医協の先生曰く、大変巧妙な制度だそうです。
この制度の本質を理解しないと、今後出てくる
政策の是非を判断できないことが分かりました。

この制度の本質は、
・全員加入
・収入に応じた保険料
・公費も投入、の3点に尽きます。

これは言いかえると、
・自助
・共助
・公助、の3要素の組み合わせの制度です。

さらによく考えると
保険原理(いわゆる保険)と、
人権原理(弱者救済)の2つの思想の
組み合わせでもあります。

国民医療費34兆円のうち
約4分の1が国庫負担(公費)で
残りが、徴収された保険料と窓口負担です。

4分の3は、国民自らが負担しています。
保険料は、所得により異なります。
窓口負担も、所得や年齢によって変動します。

34兆円というと巨額な数字に見えますが、
実際の国庫負担は、約8兆円にすぎません。
これは対GDP比でOECD諸国中最低レベル。

今、世界各国が、日本の国民皆保険制度を
詳しく分析しています。
最低の投資で世界一長寿を達成している国の秘密。

その鍵がこの制度にあるのではないかと、
様々な角度から研究されているそうです。
知れば知るほどよくできた制度だそうです。

世界からは、日本の保険制度は北欧と同等に
非常に高く評価されているそうです。
米国のオバマ大統領も真似したいが出来ない。

捨てたもんじゃないですね。
北欧と同程度とは、凄い制度。
もう少し誇りを持ってもいいかも。

そんな国民皆保険制度が今、崩壊の危機です。
まず、保険料が払えないひとが増えています。
無保険者の増大は制度の根幹を揺るがします。

1)フリーアクセス
2)高額医療費もカバー
3)低い自己負担

のどれかを捨てないと、もはや維持できないのでは
という指摘もありました。
高齢化に伴い、制度の存続が危機に瀕しています。

中医協の先生からいろいろ教えて頂きましたが、
そして何より問題なのは、国民が日本の医療に
満足していないことだそうです。
(続く)