《0525》  瀬戸際のフリーアクセス [未分類]

国民皆保険制度の根幹のひとつが、フリーアクセス。
誰でも好きな時に好きな病院を自由に受診できます。
生活保護の方であっても希望する病院を受診できる。

地域による制限も、全くありません。
尼崎から東京の病院に通院しているひともいます。
東京から尼崎に通院しているひともいます。

ある医療機関が合わなかったら次の医療機関に行ける。
すると新たに病気が見つかることはよくあります。
まあ、後に診る方が圧倒的に有利なのですが・・・

自然な競争も生まれます。
ゆるやかな淘汰もあり得ます。
フリーアクセスが医療の質を担保する側面もあります。

この制度は日本人全体が当たり前と思っています。
しかし、世界中で完全フリーアクセスは日本だけ。
極めて特殊であることを大半の市民は知りません。

風邪でいきなり大学病院にかかるひと。
盲腸でもブランド病院で手術したいひと。
普通の高血圧でも有名医師にかかりたいひと。

ドクターショッピングも重複受診も重複検査も
全部、許されています。
無駄と引き換えに一定のレベルが保たれています。

しかし、そろそろ限界が来そうです。
市民が、無駄なアクセスを自粛するか、
法律でフリーアクセスを規制するかのいずれか。

いま、大きな分かれ道に来ていると感じます。

世界一素晴らしい日本の医療制度。
世界各国が世界一だと認める日本の医療制度。
しかし多くの市民は日本の医療に満足していません。

このギャップは、何故?

電車の中でも喫茶店でも聞こえてくるのは、医療の悪口。
医者は悪の象徴、病院は不正や事故の象徴に聞こえます。
これは極めて不思議な現象です。

世界一という評価なのに、患者は全く満足していない。
これは、医療者の責任でしょうか?
患者側の責任でしょうか?

両者が原点に戻って、一から考える時だと思います。
病気を診て患者を診ない医療を、医療者は反省すべき。
医の原点を忘れかけている現代医療には反省の余地あり。

一方、文句ばかり言っている患者さんにも反省の余地あり。
医療の仕組みを知り自分で選んだ医療に自覚を持って欲しい。
医療の原点は、満足だと思います。

両者で「満足医療」を模索する時です。

今こそフリーアクセスの意義を考えたい。
もうラストチャンスだと思います。
でも、まだ間に合うかもしれません。

追伸)

東北の被災住民の4割に睡眠障害を認め、
うつ病などの疑いが1割、との報道を見ました。
睡眠障害は、うつ病の始まりの可能性があります。

拙書「共震ドクター 阪神、そして東北」に書いた
とうりのことが、既に現実として報道されています。
予想したことが、確実に起きている・・・

国が安心ビジョンを示し、個人補償をしっかり行う。
個人の2重ローン問題を解決する。
難問ですが、スピードが要求されています。

是非、みなさんと声を上げていきましょう。
全国各地で、被災者支援を続けましょう。
政治に市民の声をもっと届けましょう。