胃瘻を入れる場は、病院しかありません。
在宅や施設で入れることはまずありません。
通常病院の消化器内視鏡専門医が作ります。
病院で胃瘻を入れる理由は、様々です。
1)病院の専門医が胃瘻を勧める場合
2)家族の方から胃瘻を希望する場合
3)在宅医や施設の嘱託医から依頼される場合
1がほとんどで、2や3は少ないと思います。
最近は、胃瘻造設を断る病院も出てきましたが。
では、なぜ病院の医師が胃瘻を勧めるのか?
大きく分けて3つの理由があると思います。
1)胃瘻で延命することが医師の使命と信じている
2)胃瘻を入れないと訴えられるかもしれないから
3)病院から患者さんを追い出すために必要だから
1と無条件に信じている医師を何人か知っています。
多くは、年配の医師ですが、若い医師にもいます。
高齢者に胃瘻のみならず、人工呼吸器をつけます。
2の理由はかなり多い理由です。
患者さんは知りませんが、
病院の医師の大切な仕事のひとつは訴訟回避です。
延命処置を行わなかった罪で訴えられるかもしれない!
延命処置を中止したために殺人罪で逮捕され
有罪判決が出た医師の記事が、先週末の新聞に出ていましたね。
現代医療は、訴訟と常に隣合わせです。
多くの承諾書は、訴訟を前提としています。
とりあえず延命処置を施せば訴えられない、という考え。
さて、実は3が2と並んで多い理由だと思います。
急性期病院は、2~3週間で退院ないし転院です。
これは厚生労働省の方針です。
例えば大腿骨頚部骨折で入院すると手術は成功しても
認知症が進行して、食べれなくなくなる例が多い。
食べれないままでは、外に出せない。
在宅に帰るにせよ、施設に転院するにせよ、
「とりあえず胃瘻」が無いと次に行けない。
そこで嫁入り道具のように、胃瘻が入れられる。
研修医に聞いてみたら、胃瘻はすべて善。
あまり疑問を感じたことがないそうです。
胃瘻を入れることが自慢の技術なのです。
このように様々な理由で病院において
今日も多くの胃瘻が作成されています。
その勢いを止めるものは現在、ほぼ、ありません。