《0533》 病院で胃ろうを入れる理由 [未分類]

胃瘻を入れる場は、病院しかありません。
在宅や施設で入れることはまずありません。 
通常病院の消化器内視鏡専門医が作ります。

病院で胃瘻を入れる理由は、様々です。

1)病院の専門医が胃瘻を勧める場合 
2)家族の方から胃瘻を希望する場合 
3)在宅医や施設の嘱託医から依頼される場合

1がほとんどで、2や3は少ないと思います。 
最近は、胃瘻造設を断る病院も出てきましたが。 
では、なぜ病院の医師が胃瘻を勧めるのか?

大きく分けて3つの理由があると思います。

1)胃瘻で延命することが医師の使命と信じている 
2)胃瘻を入れないと訴えられるかもしれないから 
3)病院から患者さんを追い出すために必要だから

1と無条件に信じている医師を何人か知っています。 
多くは、年配の医師ですが、若い医師にもいます。 
高齢者に胃瘻のみならず、人工呼吸器をつけます。

2の理由はかなり多い理由です。 
患者さんは知りませんが、 
病院の医師の大切な仕事のひとつは訴訟回避です。

延命処置を行わなかった罪で訴えられるかもしれない! 
延命処置を中止したために殺人罪で逮捕され 
有罪判決が出た医師の記事が、先週末の新聞に出ていましたね。

現代医療は、訴訟と常に隣合わせです。 
多くの承諾書は、訴訟を前提としています。 
とりあえず延命処置を施せば訴えられない、という考え。

さて、実は3が2と並んで多い理由だと思います。 
急性期病院は、2~3週間で退院ないし転院です。 
これは厚生労働省の方針です。

例えば大腿骨頚部骨折で入院すると手術は成功しても 
認知症が進行して、食べれなくなくなる例が多い。 
食べれないままでは、外に出せない。

在宅に帰るにせよ、施設に転院するにせよ、 
「とりあえず胃瘻」が無いと次に行けない。 
そこで嫁入り道具のように、胃瘻が入れられる。

研修医に聞いてみたら、胃瘻はすべて善。 
あまり疑問を感じたことがないそうです。 
胃瘻を入れることが自慢の技術なのです。

このように様々な理由で病院において 
今日も多くの胃瘻が作成されています。 
その勢いを止めるものは現在、ほぼ、ありません。