「老衰という病名を死亡診断書になるべく書くな!」
先輩医師からそう教えられて、ここまで来ました。
しかし「老衰」という死因は確かにあると思います。
特定の臓器が極端に悪くなって死ぬことが大半。
心臓が悪くなれば、心筋梗塞や心不全。
脳が悪くなれば、、脳梗塞や認知症に。
しかし、どの臓器も年相応に悪くなったが、
これといった病気もないまま衰弱して亡くなる。
これを「老衰」と呼んで何がいけないのか?
年に何人か死亡診断書に「老衰」と書いています。
最近は少し厚かましくなって「堂々」と書きます。
「老衰」と書けることを誇りに思いながら、書く。
「老衰」と書けるのは、「平穏死」だったから。
「平穏死」を迎えられた喜びが、にじみ出ます。
まあ喜びすぎたら、家族に怒られるでしょうが。
急性期病院で「老衰」と書くことはまずない。
肺炎、心不全、腎不全、多臓器不全、敗血症・・・
それらの原因となる基礎疾患が並びます。
最後の最後は、多少の肺炎や尿路感染があるのでしょう。
細かく診ればもっと沢山の病名がつくのかもしれません。
しかし「老衰」がその死の本質である場合が確かにある。
超高齢化・多死社会では「老衰」が増えるはずです。
病院死ではあまり無い「老衰」が、在宅死ではある。
これが、在宅医の「誇り」です。
ということで、平穏死の条件、第14番目は
死亡診断書に堂々と「老衰」と書ける社会であること。
これは世のお医者さんに向かって言う事なのですが・・・
PS)
今週10月26日(水)午後1時半から神戸元町にある
兵庫県民会館で講演させていただきます。
演題は、ズバリ「平穏死の条件」。
日本尊厳死協会関西支部大会としての講演です。
歌手の砂川恵理歌ちゃんが花を添えてくれます。
どなたでも参加無料です。
お近くの方は、是非、遊びに来て下さい。