《0563》 尊厳死法制化の歴史 [未分類]

昨日は朝から、亡くなった人を「往診」していました。
1週間前にご自宅で看取らせて頂いた方を訪問するのです。
お線香をあげて、しばしご家族と歓談していました。

わざわざ入れて頂いたコーヒーの美味しかったこと。
窓の外には、わずかな紅葉、素晴らしい自然が見える中
澄み切った空気を吸ってから午前の診察を始めました。

亡くなったひとをケアすることは「グリーフケア」
と呼ばれています。
しかし私のクリニックではそのような言葉はありません。

私も看護師も、時間が許すときに患者宅を訪問します。
フラッと寄って、お線香を上げさせていただきます。
断られたり、嫌な顔をされたことは一度もありません。

まるでその人が生きているように、呼び鈴を鳴らします。
いや、生きている!と思っているのです。
おかしいでしょうか?

自宅で尊厳死された方とご家族のお付き合いは続きます。
亡くなった場所がそこだからそこに行けばまだ生きている。
そんな感覚で、ふと気が向いたときに、訪問するのです。

一緒に食事をしたりお酒を飲むこともあります。
この辺が、病院死との決定的な違いでしょうか。
尊厳死の後でもまだその人が生きている気がする・・・

さて、そんな尊厳死ですがまだ法的に認知されていません。
少し尊厳死法制化運動の歴史を、振り返ってみましょう。
結構頑張っていますが法制化まであと一歩という感じです。

2003年「末期医療措置法律要綱案」にて尊厳死立法を提起
2004年国会請願書に14万人署名
2005年超党派の「尊厳死法制化を考える議員連盟」発足
2006~2007年
6都市で法制化フォーラムを全国展開
2007年議員連盟「臨死状態における延命措置中止等の
法律案」公表
2011年協会が「要望書」を提出し基本的考えを示す

2011年、尊厳死協会が議連に提出した要望書の要旨は
「遷延性意識障害を対象に」
「ガイドラインは法的拘束力を持たない」
「家族の意向でなく、自己決定による」など5項目です。

規則には規範力が強い法律を頂点に、法律ほどの
力はないガイドライン(指針)があります。
厚労省は2007年、国として初めての
「終末期医療の決定プロセスに関する指針」を作成しました。

これら一連の動きは、尊厳死協会と尊厳死議連の
コラボであると思います。
そしてこの秋、さらにもう一歩の前進がありそうです。

難しい話でスミマセン。

朝から、先週看取らせて頂いたばかりの方と対話しながら、
尊厳死の清々しさを味わい法制化の決意を新たにしました。
今日も、お昼休みに大阪のある病院で平穏死の話をします。