《0565》 週末退院 [未分類]

週末に病院を退院される患者さんが多いこと。
日曜日のことも多い。
自宅に連れて帰るご家族の都合でそうなります。

私が勤務医だった時も、そうでした。
その患者さんの在宅医療を頼まれる時に、困ります。
たいてい土曜の午後や日曜日に初回訪問を行います。

在宅医療の開始は、退院して自宅に戻った時点から。
だからできるだけ早く顔を合わせる必要があります。
以前、退院して3時間後に亡くなった人がいました。

日曜日の夕方だったので、到着までに時間がかかりました。
しかし、私が到着する前に、患者さんは絶命されました。
ご家族が救急車を呼び病院で死亡確認となったそうです。

結局、一度も顔を見たこともない患者さんのご家族から
あとで激しく怒られたことを覚えています。
本当は死ぬ数時間前に退院させる主治医がおかしいのですが。

この1件が教訓になり、週末退院には気をつけています。
週末に留守をする場合は、「週末外泊扱い」をお願いします。
調子よければ、週明けに、「退院手続き」をしてもらいます。

病院の主治医が、「今週一杯がヤマです」と説明します。
驚いた家族が突如「家に連れて帰る」という場合があります。
みなさん「最期だけは自宅でと決めていたから」と言います。

こうして「ギリギリ在宅」が、あを絶ちません。
「あと1週間早く戻してくれてたらなー」、が正直な感想です。
しかし実際に戻ること無く、病院で最期を迎える人が多いこと。

病院の退院は、在宅の入院。
週末退院は、我々にとっては、週末入院。
昨日の祝日も訪問看護師達は、頑張って働いていました。

しかし、開業医や在宅医も、週末にはどこも
医師や看護師が手薄になります。
これは、病院も同じですが。

今日は午後から、認知症の市民フォーラムです。
自分の講演中にも携帯電話がバンバン鳴るでしょう。
先日の講演では、講演中に10回位鳴り困りました。

週末や日曜日は、電話が鳴る回数が増えます。
患者さんもご家族も「不安」になるのです。
特に「夜」が怖いのは、人間の本能でしょう。

入院を希望する電話もかかってきます。
ところが、どこの病院も若い当直医しかいない。
いても「科が違う」という理由で、断られます。

救急車さえ呼べば最高の医療が受けられると、
信じて疑わない人もいますが、もはや幻想です。
舞台裏は「医療崩壊」の嵐です。

こんな舞台裏も知っておいてください。
週末退院に、夜間・休日の入院の裏側。

予め予想できることであれば
早めに準備することが大切です。
上手に退院し、上手に入院してください。