この1週間、深夜の往診に3度呼ばれました。
病状説明や、急変や、看取りです。
ちなみに、訪問看護師はもっと呼ばれています。
深夜に往診するメリットは、ゆっくり話せることです。
終末期や看取りの話をするには深夜の往診が一番です。
自殺願望の方と、死について語るのもいつも深夜です。
「一緒に泊ってくれ」、と言われることもあります。
泊まることもありますが・・・
そんなこんなで、どこが1日の境目かよく分からない時も。
昨夜は、「夜中になると、おばあちゃんが騒ぐ」ので
その様子を、深夜に診に来て欲しいという依頼でした。
なるほど、「夜間せん妄」を観察してきました。
その観察も大切ですが、そこでのご家族との会話がもっと大切。
かなりデイープな話になりますが、よく理解できるようになる。
よく知らなかったことを、初めて知る貴重な機会、それが深夜。
深夜は、人の心が開きます。
素顔の患者と、素顔の家族と、素顔の町医者。
まあ、これは病院勤務医の時もそうでしたが・・・
患者さんが昼夜逆転していれば、ご家族も逆転します。
昼と夜は「別人」になる患者さんが、沢山おられます。
こちらも昼夜逆転すれば、ちょうど良い時もあります。
夜は誰でも不安になります。
そこを支えることが、とても大切。
「夜間巡回ヘルパー」の需要は大きいかと思います。
世の中は、昼と夜が、半分半分です。
しかし病気は、昼夜を問いません。
だから、夜を充実させるのは大切なこと。
私は、365日、何百床かの病院の当直をしています。
それを10年以上、休まず続けています。
自分でも、よくやっているな、と思います。
生来、体が元気です。
小学校から現在まで休んだことがありません。
医者になってからも、病気で休んだことが無い。
元気だから、深夜の往診もできるのかと思います。
しかし、最近、やはり体にこたえます。
こんな荒業をあと何年できるのだろうかと思います。
だからこそ、今を頑張ろうという気にもなります。
今週から、また、研修医が勉強に来ています。
外来、在宅とも私に張り付いてもらいました。
研修医は、5時に帰らします。
それが公務員や研修医の規定です。
残念ながら、半分しかお見せすることができません。
研修医の教育は、大変です。
普段の倍の労力を使います。
しかし使命感を持って教えます。
自分のDNAが、子供の世代の若い医師に乗り移って
くれることを心の奥で期待しているような気がします。
これを「老爺心」というのでしょうね。