《0591》 趣味三昧の果ての看取り [未分類]

趣味三昧の果ての旅立ちも、沢山診てきた。
末期がんの患者さんは、とても進行が早いので
1日1日を大切にして趣味を楽しむ必要がある。

ギャンブルが好きだった胃がん末期の患者さんは、
毎日、車椅子でパチンコ屋さんに通った。
旅立つ前日まで通い続けて周囲を驚かせた。

彼には、パチンコが人生そのものだった。

旅行が趣味だった若き末期がんの患者さんは
半ば強引に海外旅行にでかけられた。
「ヨーロッパにいるが吐血した」と電話がかかってきた。

国内や東南アジアへ、家族旅行を楽しんでから
旅立たれた末期がんの方も何人かおられた。
まさに、最期の想い出の旅となった。

病院の外泊は、1~2日、自宅に帰ること。
在宅の外泊は、旅行しての外国泊。
同じ「外泊」でも、かなり違う。

ひたすら読書三昧の末期がんの患者さんもおられた。
最期まで絵を描かれた末期がんの患者さんもいた。
みなさん、死ぬ直前まで、趣味を続けられていた。

その他、美食が趣味の末期がんの人もいた。
亡くなる1週間前に、お刺身を買って訪問して
一緒に食べたら、ビックリするほど食べられた。

末期がんの患者さんと酒を飲んだことも1度だけある。
どうしても先生と飲みたい、と懇願された。
まさに、最期の杯となった。

在宅のいいところは、最期まで趣味を続けられること。
自分の好きなことをやり続けられること。
病院では問題児が、在宅では優等生になるから不思議だ。