《0594》 完全無欠の天涯孤独死 [未分類]

世の中には、天涯孤独という方もいる。
最初は、そうではなかっただろう。
しかし年を取るうちに周囲が死んで、そうなった。

生涯非婚も増えている。
そうなると子孫はいない。
頼りになるのは、兄弟など同世代のみ。

そうなると、お互いに寝たきりだったりする。
親族はいても、看取りにも来れない。
こんなことも増えている。

天涯孤独の末期がん。
当然、独居なので在宅看取りは難しそうに思うだろう。
しかし、実は一番簡単なのだ。

あくまで本人が在宅死を希望している場合の話だが。
家族や親戚がいない分、家族説明という医師の仕事が減る。
その分の時間を、本人とのコミュニケーション時間に回せる。

ヘルパーさんやケアマネさんが、看取ることが多い。
向かいや階下に住む隣人が看取る場合もある。
下町では「地域」という「看取りびと」が機能している。

大家族の看取りもいいが、天涯孤独の看取りもいい。
余計なものが一切無い。
美しい。

実は、こんな時に、その美しさに涙が自然に出る。
なんて言ったらいいのだろう・・・
旅立つひとを送り出す、唯一の涙でもある。

一番違う事は、亡くなったあとの始末だ。
現実的な諸問題の処理に入らなければいけない。
遺体や遺品の始末はケアマネさんがやっている。

もちろんみんなボランテイアだ。
役所は動いてくれない。
制度の隙間を、ボランテイアのケアマネが埋めている。

だからケアマネさんにはいつも頭が上がらない。
特に天涯孤独の人の在宅では、ケアマネさんが神様に見える。
医者選びより、ケアマネ選び、なのだ。