《0062》 免疫療法とお金の問題 [未分類]

「免疫療法」についての最後は、再び、お金の話を書きます。
免疫細胞療法など副作用がほぼない有望な治療法が開発されています。
粒子線治療も同様です。
しかし、健康保険はきかず、何百万円単位、時には1千万円もの自己負担が
必要となります。

最近の生命保険には、そのような保険がきかない先進医療に対応する
特約を売りにする保険商品が宣伝されています。
今や、「2階建て保険」と言われています。
1階は、国民皆保険制度です。
2階は、民間が運営する生命保険や医療保険です。

不安な人は、2階にもどんどん入ることでしょう。
しかし、保険は所詮宝くじと同じで、胴元が損をしないようにできています。
がん保険の場合は、がんになることが、「当たり」ですから、それも困りますが……。

昨年、ある終末期医療の集会で「がん保険に関する勉強会」が開かれ、
私は司会を命じられました。
民間生命保険会社2社の営業の方が、保険制度について講演されました。

ある偉い先生が、「これからは、がん患者さんにがん保険に入るようにみんなで
言おうか?ああ、がんになったら入れないのか!」と笑いを取りました。

私は、「民間保険が必要でないような国民皆保険制度にしなくては」や、
「外国の生命保険会社ばかりが儲けるようでは困る」と、発言しました。

しかし、前者は我が国の厳しい経済状況を考えると非現実的であり、
後者は、保険会社の方に、「日本で得た利益は、ちゃんと日本に還元して
いますから大丈夫ですよ」と、諭されました。

健康格差は、経済格差とも言われています。
教育格差も同様です。
確かにそうかもしれません。
格差は、本当に仕方がないのでしょうか?
日々、がん患者さんの先進医療や標準治療や在宅医療を目の前にして、
お金の問題に一番頭を使うのが本当のところです。