《0063》 アフガニスタンで井戸を掘る医師 [未分類]

先週の日曜日に、アフガニスタンで26年間医療活動を続けている
中村哲医師の講演を拝聴しました。

彼は、医療活動、病院建設のみならず井戸や用水路を掘っています。
水の確保が、アフガニスタンの人たちにとってまさに生命線だからです。
人の命を救うためには、理屈ではなく、まず、水が必要です。
「聴診器より土木機械の扱いの方が上手くなった」と笑いながら話されました。

ペシャワール会というNPO法人の寄付で、彼らの活動は支えられています。
26年に及ぶ活動の歴史は、現地の住民たちの圧倒的な支持を得ているようです。
彼の掘った用水路で砂漠が緑の農地に変わり、多くの作物が収穫されていました。

質問タイムでは、会場からいろんな質問が飛び出しました。
「アフガニスタンから、今の日本はどう見えるか?」との問いには、
「余計なものが多過ぎる。例えば携帯電話かな」
と、シンプルライフを強調されました。
彼は、日の出とともに起きて、日が沈むと寝るそうです。

「なぜ、日本でなく、アフガニスタンだったのか?」の問いには、
「たまたま最初に行ったのがアフガニスタンだったから。
それ以上でもそれ以下でもない」と答えられました。

「何も外国に行く必要はない。
身近なところで、人のためになることを考えなさい。
本当は、自分は福岡県の無医村で働くつもりだった」とも。
彼は、九州大学出身の神経内科医でした。

抗がん剤治療、免疫療法、健康食品、そしてダイエットに励んでいる
現代日本の医療と、今なお感染症に苦しんでいるアフガニスタン。
同じ時代を生きているのに、こんなにも課題が異なるという、この現実。

彼の話に感動するとともに、自分が育った町、尼崎で困っておられる人の
ためにもっともっと頑張ろう、という元気をもらいました。
また、中村医師を見ながら、つい空海さんや関寛斎(せきかんさい)医師を
連想しました。

医者は、修行時代、実労働時代、そして奉仕時代に分かれると思います。
自分自身は、本当に世の中の役に立っているのかな?
50歳を超えた自分の立ち位置を見つめ直すいい機会になりました。