《0635》 家に帰ったら元気になったけれど・・・ [未分類]

着の身着のままで一目散に病院を脱出して帰宅した患者さん。
家に帰ったものの、平らなベッドに苦しそうに寝ていました。
慢性心不全があるので、真っ平らに寝ることは苦しいのです。

トイレに遠いのでポータブルトイレが必要かと思いました。
まず一番に準備したいものは、介護ベッドでした。
しかし、まだ、肝心の介護認定を受けていませんでした。

本当は寝たきり状態の病院で認定を受ければ良かったのですが、
大抵、病院にいるときは、「介護保険」のことは忘れています。
90台まで介護保険のお世話にならなかったのは素晴らしいが。

時計を見ると、午後4時30分でした。
急いでご家族に役所に走ってもらい、介護認定を申請させました。
ケアマネさんにも来て頂き、至急のベッド搬入を泣きつきました。

午後6時には、介護用ベッドが搬入されました。
午後8時には、少し食事も出来て落ち着きました。
帰宅して数時間後には、かなり元気になりました。

高齢者は、元の環境に戻すだけで元気になります。
食べさすだけでも、元気になります。
生きるとは、食べること。

これで、今夜はとりあえず、自宅で無事に過ごせそうです。
急に病院を脱出したので何かあれば私に全責任があります。
その意味では、介護ベッド導入は大きな意味を持ちます。

介護認定が出るまで、通常、1カ月ほどかかります。
しかし、申請したその日から、介護保険は使えます。
使えると言っても、認定されるの前提のもとでです。

もし、1カ月後に介護認定されなければ
ベッド代はケアマネの自腹になります。
当院なら事業所の持ち出しになります。

しかしこんなことは、よくあります。
患者さんのためには、後先、損得を考えずに動きます。
現場は介護保険を待っておられないのです。

おそらく1週間後位に市役所の職員が認定調査に来ます。
問題は、その時に元気になっていたら、困る!のです。
いろんなことをして元気になるのはいいこと、のはず。

しかし肝心の認定調査の時に元気なら、悲惨なことになります。
介護ベッドも含めて、すべてが、事業所の持ち出しになります。
患者さんにいいことをしても、事業所には損害を与えることに。

昨日書いたようにその患者さんは、短時間で見事に復活しました。
「食べられない」と言われたのが、パクパク食べています。
それはいいことなのですが、制度上は「ヤバイ」ことなのです。