《0636》 救急車で運ばれた、病院に入れられた [未分類]

昨夜も遅くまで往診に奔走していました。
深夜に伺うと、週末なので何十人もの家族が集結。
危篤状態のおばあちゃんのために孫たちが集まったのです。

元旦からすでに何人かの死に立ち会ってきました。
そして今夜も生死の境にあるひとからの電話を待って寝ます。
こんな窮屈な生活も10年以上やっていると、慣れてきます。

さて、みなさんからよく聞く日本語があります。

  • 救急車で運ばれた
  • 病院に入れられた

救急車が勝手に来て勝手に運ぶはずはない。
必ず自分で呼んで、どこかに運ぶように頼んだはずです。
しかし、常に、能動態ではなく受動態で話されます。

入院も同様です。
勝手に拉致され病室に監禁されることはあり得ません。
必ず、本人が承諾かお願いして、入院したはずです。

「何度も救急車に乗せられて」とか、
「何度も入院させられて」と、半ば自慢する人もいます。
いつも心の中で、首をかしげながら聞いています。

勝手に運ばれて、入院させられて、
文句一杯の方やそのご家族が相談に来院されます。
何故、呼ぶ前に、入院する前に考えなかったのか。

救急車を呼べば、数分で救急隊が到着して、
最高の病院に連れて行ってくれて、そこには
最高の名医が最高の医療を提供してくれる・・・

本気でそう信じて疑わない人が、今でも沢山います。
かつて日本の医療がそれほど素晴らしかった名残り。
しかし今となってはもはや「幻覚」か「妄想」です。

診察室では、受動態の苦情を黙って聞いています。
しかし、そもそも自分が選択し決断した結果です。
「どこまでも受動態の患者さん」では、困ります。

日本の医療制度はフリーアクセスが売り。
情報はネットや本で自由に得ることができる時代です。
納得のいく医療機関を自分自身で決めて頂く時代です。

PS)
今日は、新年会、勉強会のハシゴです。
状態が悪い在宅患者さんが沢山いるので飲めません。
そう言えば、まだ年が明けて一滴も酒を飲んでいません!

車が手放せません。
車が動く診察室兼自宅。
今日も深夜まで、車であちこち移動します。