《0639》 共震ドクター 阪神、そして東北 [未分類]

17年前の1.17、阪神の記憶は、今でもはっきりとある。
だから東北のひとたちの17年後にも、きっと3.11の
記憶は鮮明に残ることだけは、容易に想像できる。

なんとなく、今日が来るのが怖かった。
1.17があり、3.11があったから。

阪神の記憶が、東北の現実に重なるから。

阪神はまだ終わっていない。
深い傷にうなされている人が近くに何人かおられる。
そこに、3.11という新たな試練を見ることになった。

光明は、阪神から東北に支援に出かけるひとが
増えていること。
老若男女を問わず、阪神から東北にエールが送られている。

1.17のDNAが、3.11にも刻まれている。
親が受けた善意が、子供がボランテイアで返している。
1.17に目覚めた看護師が、今は気仙沼で頑張っている。

今日は早朝から黒田裕子看護師がテレビに出演するという。
三宮の公園で行われる追悼行事。
今年の1.17は、新たに特別な意味を持つ日となった。

芦屋市のある地区では、区画整理に10年を要した
被災地の復興計画は、もっと時間がかかるかもしれない。
早いところと、遅いところがどうしても出てくる。

遅いところに関わる住民のストレスは相当なものだ。
何度話合いをしてもまとまらないことがあったのだ。
東北では阪神の二の舞は決して味わって欲しくない。

阪神の教訓が、東北で少しでも活きて欲しい。
そう願って、必死で一冊の本を世に出した。
「共震ドクター 阪神、そして東北」(エピック)

本の売り上げは全額被災地に寄付している。
相馬市の震災孤児・遺児支援条例。
そして、子供たちへの奨学金に入れてきた。

この本を一人でも多くの方に読んで頂きたい。
個人の二重ローンの問題は、今回の東北でこそ
少しでも風穴を開けておきたい。

阪神の教訓を活かすことが、阪神の犠牲者の供養になる。
阪神と同じことを東北で繰り返しては決してならない。
そういう強い想いで、徹夜で書き上げた一冊。

必ず、東北の次の災害があるだろう。
その時のためにも、東北でいい前例を残さなくてはならない。
そのためのヒントとして、自分が知る限りのことを書いた。

一昨年の末に「震災が教えてくれた町医者力」を出したばかり。
わずかその半年後にまた震災の本が出るとは夢にも思わなかった。
しかし、すべて現実。

今日ばかりは、静かに過ごしたい。
1.17の朝に見た、子供の遺体を忘れない。
自然は人間に、時に極めて理不尽な行動を取る。

1.17の5カ月後に、尼崎で開業した。
あれから17年。
17という文字がここで重なる。

17年後の3.11を想うと、気が遠くなる。
しかし諦めずに着実に歩んでいかねばならない。

今は想像すらできないが、きっとできる。
東北は必ず復興する。

この国のみんなの善意は必ず東北に届く。
諦めずに少しずつでも前に進んで欲しい。