《0645》 「老人長屋」でインフルが出た!(その2) [未分類]

老人長屋でインフル患者が出た!
管理者にとっては、「えらいこっちゃ!」、です。
「集い場」があることが、今度は集団感染のリスクにもなる。

もし集団感染して死者でも出たら大変です。
しかし病院に入院もできない。
認知症患者さんは、そもそも入院お断りなのですから。

徘徊が趣味のその老人さんをどう閉じ込めておくのか。
ある人は、「鍵をかけて軟禁しておこう」と。
ある人は、「それは人権侵害だ」とも・・・

まず、その老人さんにマスクをすることにしました。
普段そんなことはしないので、マスクの練習から開始です。
廊下に出てもマスクをしておくとウイルス散布の可能性は少ない。

結局、時間を決めてヘルパーさんが、1日に何回か
館内散歩に付き添うことになりました。
シンプルですが、それが一番確実です。

これが新型インフルで無くて良かった!
新型なら大騒ぎになっていたでしょう。
今年は季節性だけなので、気が楽です。

考えてみれば、感染症ならすべて同様の思考になります。
ノロウイルス、結核、疥癬・・・・。
人が集まる場所は常に集団感染の危険があります。

そこで、いま、私は思いつきました。
感染症専門の短期ショートステイ施設があればなー。
3~4日間だけ、隔離してしっかり管理するのです。

認知症でもOK.
老人長屋や、グループホーム入居者など
集団生活をしている認知症患者さんのための施設です。

普段は、普通のショートステイとしておき、非常時のみ
感染症専用に国費を投入して転用するのです。
間違いなく、集団感染防止と人権を両立できる策です。

そんなことを夢想していたら、また呼ばれました。
その患者さんの酸素飽和度が低下していると。
ああ、肺炎を合併しているかもしれません。

たとえそうであっても、入院先はまず見つかりません。
昨晩も脳卒中患者の入院先探しに12の病院が受け入れ不能でした。
脳卒中ですらそうですから、認知症のインフルならば、当然難しい。

だから、老人長屋で肺炎の治療をするしかありません。
老人長屋からは、我々在宅スタッフも無言のプレシャーがかかります。
しかし我々は、粘り強く、治療し寄り添っていきます。

何が言いたいのか。
認知症の方はただでさえ受け入れ先が少ない現状ですから
インフルなどあろうものなら、本当に行く先が無いのです。

PS)
昨夜は、昨年末に出版された共著本
蘭学医・関寛斎 -平成に学ぶ医の魂-」(エピック)の
出版記念パーテイでした。

全国から多くの方が集まって頂き盛大な会でした。
こんな混迷の時代こそ関寛斎をお手本にしたいものです。
関寛斎との出会いは、自分にとって大きな幸運でした。