《0065》 映画「告白」を見て母子の絆を考えた [未分類]

37人の13歳の中学生たちと松たか子さんが教師役を演じる
R15指定の話題の映画「告白」を見ました。
深く、重いテーマが、見事に描かれていて考えさせられました。

教師の小さな子供が、自分の生徒に殺された。
そして、その教師は……。
日々、診療していて、母親と子供の関係がかなりおかしくなっている、
と感じます。

不登校や引きこもりの相談を受けることも、よくあります。
生活習慣病や軽いうつ病、不眠症などは、根元を探っていくと
たいていはストレスに行き当たります。
それも、親子関係のストレスが原因であることが実に多いのです。

13歳は、半分大人で、半分子供。
もし犯罪を犯しても、少年法で保護されています。

しかし法律の問題ではなく、母子関係が本質だと思います。
さらにその背景には、日本という国のもっと深い病理が見えてきます。
子ども手当も大切ですが、それ以上の大切なものが沢山失われている。
子供は社会を映す鏡ですから、私たちの世代に責任があるのでしょう。

そんなことは、充分分かっているつもりでしたが、この映画は、
私の想像をはるかに超えていました。
決して誇張や特殊例ではなく、これが現実なんだと感じました。

来週、15歳の高校生たちに「タバコと健康」の講演をします。
「告白」という映画を見た今、講演することが少し怖くなりました。

毎年、あまり聞いてくれないので、それなりに苦労しています。
しかしこの映画の松たか子さんより、まだ聞いてくれているかな。
聞いてくれても、心が伝わるだろうか?難しいだろうな……。

いろんな講演をしていますが、子供への話ほど難しい仕事はありません。
金八先生や夜回り先生には、なかなか近づけません。

中学生、高校生の段階で、心の病気や生活習慣病は確実に始まっています。
根本的な解決法が見つからないジレンマをシバシバ経験します。
一方、学校の教師も、改めて大変な任務を背負っていると思いました。

何はともあれ、多くの大人に見てほしい映画です。
日本人が考えるべき課題が、いっぱい詰まっています。