《0654》 無・医療保険 VS 無・介護保険 [未分類]

毎日のように新しい在宅患者さんの家を訪問します。
最初はこちらもドキドキ、あちらもドキドキ。
ぎこちない「お見合い」も30分もすれば打ち解けます。

まずは仲良くなるまでが第一関門です。
信頼を得て初めて生活の中に入って行くことができます。
しかしそこで愕然とする事実に遭遇することがよくある。

医療保険や介護保険に入っていない患者が、おられます。
自営業者であったりとにかくサラリーマン以外の人です。
お金が無いのか病気にならないと思っているのかは不明。

医療保険無加入の人の中には、あまり困らない人もいます。
普段は元気なので、風邪をひいいた時のみ自費で受診する。
大きな病気をしないかぎり、普段は大きくは困りません。

問題は介護保険・無加入者です。
在宅医療で介護保険が無いと困ったことになります。
介護は通常、長時間続くのでこちらの方が困ります。

まず介護用ベッドが入りません。
「自宅は世界最高の特別室」にしたいのですが、
その土台となる介護用ベッドが入らず困ります。

喘息や心不全の患者さんは少し頭を上げた方が呼吸は
断然楽になりますが、ベッド無しでは工夫が必要です。
布団の塊を背もたれにして、上半身を高くしています。

自費で入れればいいのですが、元来、そんなお金も
無いので介護保険に無加入なのです。
途中から入るにもそれなりのお金が必要です。

持ち家だったりすると生活保護にもなれません。
いわゆる制度の狭間に落ちた方が結構おられます。
ベッド業者に頼んで格安でのレンタルにする場合もあります。

ある方は過去の医療保険と介護保険料を遡って払いました。
100万円もの請求書が来たそうです。
毎月、月賦で返しています。

少ない年金から天引きです。
介護保険は普通1割負担です。
しかし月賦返還期間中は、3割負担だそうです。

無・医療保険VS無・介護保険

不景気でどちらも増えてきました。
自営業者や無職に多く見られます。
非正規雇用者にもいます。

在宅現場では、あるもので工夫するしか方法はありません。
病気や介護は、1日たりとも待ってくれません。
そこでは手作りで切り抜ける知恵が必要です。

在宅医療とは、ファイナンシャルプランナーでもあります。
家を訪問したら、必ずお金の話から入らなくてはならない。
そこでは、綺麗ごとは通用しません。