《0067》 漢方は代替医療? [未分類]

「漢方」と口にしただけで、苦い煎じ薬をイメージして顔をしかめる人がいます。
反対に、西洋薬の副作用を怖がる人には、とても歓迎されます。
私自身は、これほど便利な薬はないと思っています。

以前、「プライマリー漢方研究会」という漢方非専門医のための勉強会を
主宰していました。

知れば知るほど奥が深いのが、漢方の世界です。
漢方薬とは、植物や鉱物などを何種類か混合したものです。
その種類や配合割合は、長い歴史によって検証されてきました。

いちいち鍋で煎じるのは、面倒臭いという人のために、「エキス剤」という
大変便利なものが出来ました。

患者さんには、「インスタントコーヒー」と説明しています。
いちいち「豆から挽くの面倒臭い」人にはお勧めです。
粉薬ですから、持ち歩きにも便利です。
しかも、健康保険がききます。

私は、数ある漢方薬を、勝手に以下の三つに分類しています。
①漢方でないと効かない場合
②漢方が西洋薬と同程度かそれ以上に効く場合
③西洋薬に軍配が上がる場合。

①この代表は、コムラ返りの芍薬甘草湯、咽頭神経症の半夏厚朴湯です。
②には、更年期障害や過敏性腸症候群や風邪の漢方があります。
③は、中等度以上の高血圧や糖尿病などです。

風邪に漢方薬を使うのは、もはや当たり前になりました。
受験生には、眠気がないので大変喜ばれます。
毎日、沢山の漢方薬を処方しています。

少し前まで、漢方薬と西洋薬を併用すると保険者から怒られましたが、
現在ではそのようなことはなくなり、非常に診療しやすくなりました。
まさに「漢方さまさま」、といったところです。

この漢方が、なぜか代替医療に分類されることがあります。
つい先日も、事業仕分けされそうになって、驚きました。
まだまだ、実力の割に地位を確立できていないのが、「漢方」です。

漢方薬の科学的解析、統計学的解析が進んでいます。
今流行りの、EBM(Evidence Based Medicine)です。
私は、「漢方は立派な現代医学」だと思います。