《0670》 風邪に始まり風邪に終わる [未分類]

この季節は気が抜けません。
なにせ一見さんが多いからです。
発熱と倦怠感。これだけで診断、治療するのです。

風邪だと思ったらインフルエンザだった。
逆もあり。
また、風邪ではなく感染性胃腸炎だった。

それくらいならまだいいです。
実は、肺炎だった、胆のう炎だった、心筋梗塞だった。
もっと凄いのになると、自作自演の詐病だったことも。

あとで診断書を要求して来たときにピンと来ます。
実はこの診断書でモメることも多いのも臨床現場。
本人の希望どうりに書けないことも多いのです。

治らず次の医者に行くと診断名が変わることがあります。
古今東西、「後医は名医」。
あと出しじゃんけん、のようなものです。

医者の間では常識でも患者さんは知らない。
文句を言いに返ってくる患者さんもいます。
「診察料をすべて返せ!」と。

クレーム対応で診察が遅れると、
待っている患者から怒鳴られる。
とにかく、この季節は難しいのです。

昔、大学病院の医者は開業医を「風邪医者」と呼びました。
しかし、風邪をちゃんと診れる医者がどれだけいるだろう。
実は風邪が一番難しい、と後輩医者たちに教えています。

外科医は、盲腸に始まり盲腸に終わる。
町医者は、風邪に始まり風邪に終わる。
一人一人、気が抜けません。