《0701》 医療者自身の死生観 [未分類]

昨夜は都内のあちこちで大学の卒業式がありました。
多くの女学生は気慣れぬ着物を着てはしゃいでいた。
自分自身の卒業式を思い出してみたが、記憶が無い。

出なかったと思うし、はしゃいだ記憶も無い。
現在の卒業式のほうが派手なんじゃないかな。
いまの若い人たちは楽しそうだな、と思いました。

さて一昨日からの日本在宅医学会の昨夕のシンポは、
「死生学」についてでした。
終末期医療や死を巡る様々な課題が議論されました。

意外なことにこの学会で「死生学」が議論されるのは
初めてだったそうです。
質問したいことが沢山ありましたが、時間が無かった。

ある訪問看護師さんの発表が興味深かった。
特に死生観は無いという看護師さんが結構いるという話。
実は、お医者さんも特に死生観が無い人が多いのでは?

死は常に他人事なのは、患者さんも医療者も同様では。
しかし本当はそれではだめなので教育すべきなのです。
それも机上の教育では無く、実地研修です。

当院での研修では、看取りに立ち会うこともあります。
実際の看取りを多く経験しないと死生観はできません。
また、10年程度の医学研修を修めることが前提です。

2500人を在宅看取りした医師が講演されました。
看取りは、医師だけではなく、看護師や介護職、
そして、宗教家と一緒になって行うべきだと語りました。

宮城県で被災もされているだけに、心に響く言葉でした。
「死から逆算して考える医療」という発言もありました。
ゴルフでも、上級者は、ホールから逆算して打ちます。

医師が患者になるととても厄介な患者になると言われます。
看護師も同様です。
他人の死は知っていても自分の死は考えたこともないから。

病気で死ぬ直前になってから慌てふためくのではなく、
元気なうちから自分のエンデイングノートを考えておくべき。
これからこんな講演を何度することでしょう。

深夜に帰阪し、ある末期がんの患者さんを往診しました。
「先生に診て頂いたから安心して寝れます」と、ご家族。
しかし、なんとなく町医者冥利を感じました。