《0071》 やっぱり体を温めよう [未分類]

体を温めて、がんや病気を治したり、健康を維持するのが「温熱療法」です。
体を温める効用については、今さら、ここで述べる必要もないのですが、
まだそれを知らないで苦労されている人も多いので、少し解説します。

健康ランドや銭湯に毎日通っている人は、驚くほど元気です。
そんな人は、あまり病院に来ないので、出会うことも少ないのですが……。
医師には「温泉療法学会」や「温泉療法専門医」という資格まであります。

一方、がんに対する温熱療法は、「ハイパーサーミア」と呼ばれています。
がん細胞は熱に弱く、42~43度で死滅するという特性に注目した治療法です。
台の上に乗って、小一時間ほど、がん局所を温めるだけ。
副作用はありません。

抗がん剤治療や放射線治療と併用すると抗腫瘍効果が認められるものの、
単独ではそれほど効果が期待できないと言われています。
最初の数回は健康保険がききますが、その後は、1万円単位の自費になります。

当院にも「ハイパーサーミア」に通っておられる、がん患者さんがおられます。
私には相談できても、病院の主治医には内緒で通っていることが多いようです。
病院主治医に怒られるのが怖いそうです。
そんなことはないと思うのですが……。

「ハイパーサーミア」を長く続けるには、やはりお金が必要です。
免疫療法や粒子線治療が、300万円仕事だとすれば、「ハイパーサーミア」は、
お金の面では、まだ安いのかもしれません。
「ハイパーサーミア」の機械は、大変高価です。
同一医療機関での、保険診療との併用は混合診療となるので不可です。
「ハイパーサーミア」が行える施設も、多くはありません。
この辺りが、この治療法の普及を妨げている要因でしょうか。

偶然ですが、私のクリニックから徒歩1分の場所に昨年、「塩でできたタイル」で
囲まれた「ソルトスタジオ」という名の「マイルド温熱療法施設」ができました。
レジオネラ感染の心配がない岩盤浴ないし低温サウナのようなものです。

そこで、がんと生活習慣病の方に「マイルド温熱療法」の臨床治験を行いました。
輸入した特殊な機械で「マイルド温熱療法」前後の活性酸素量を測りましたが、
それなりの手ごたえをつかみました。
学会にはまだ発表していません。
治験参加者からは大変喜ばれました。

私にとって、「からだを温めること」、そして「がんのハイパーサーミア」はとても、
魅力を感じる治療法です。