抗がん剤は止めるが免疫療法だけは続けたい。
そんな患者さんが大勢おられます。
在宅医はその狭間で様々な相談を受けます。
免疫療法、温熱療法、健康食品・・・
いわゆる代替医療と呼ばれるものです。
本屋さんに行くと山のように本が積まれていますね。
「こんな状態で免疫療法に通ってもいいですか?」
「いいですよ。ただし車で行って下さいね」
「先生は、どこの免疫療法がいいと思いますか?」
「そうね、一口に免疫療法って言っても沢山あるからね」
「先生がお勧めする免疫療法クリニックを教えて下さい」
「そんな。お勧めって言われても詳しいことは知りません」
逆に、患者さんに質問してみました。
「これまで免疫療法にいくら使ってきたのですか?」
「そうですね。1回100万円単位ですね・・・」
「100万円単位!?」
思わず研修医君と顔を見合わせました。
1回20万円位は聞いたことがありますが、
100万円単位の免疫療法は初めてでした。
「お金持ちなんですねー?」
思わず口に出てしまいました。
2人の息子さんが口を揃えて答えられました。
「いいえ、うちは決してお金持ちではありません。
2人の貯金を取り崩してお金を作っているのです」
ああ、なんて親孝行な子供たちのこと。
「免疫療法は現金前払い式なんです。採血する時にお金を払っている
ので、もし点滴に行けなくなった時は往診で点滴してくれますか?
ゆうパックで自宅に送ってもらえますので」
何10万円もの点滴を、在宅でしたことが何度かあります。
こちらは無料なので、なんだか腑に落ちない気分でしたが。
患者さんが喜ぶならそれでいいと「やります」と答えました。
研修医君と帰ろうとした時に、さらに難問が投げられました。
「先生、温熱療法はどうしたらいいですか?」
「ええ?温熱療法もやってたの?・・・」
(続く)