《0758》 酸素吸入で楽になるか? [未分類]

肺がんで闘病中の在宅患者さんが呼吸苦を訴えました。

抗がん剤治療、免疫療法、温熱療法と並行して

麻薬による緩和医療も行っています。

 

痰が多く出て、咳が止まらないため夜も寝れません。

聴診器を当てるといつもよりゼイゼイが激しかった。

一緒に訪問した研修医君に質問してみました。

 

「この呼吸苦を緩和するにはどうしたらいい?」

 

「酸素吸入をすればいいじゃないですか」

 

なるほど。

誰でもそう考えますよね。

御家族にもいつも言われます。

 

在宅酸素療法の保険適応としては、

・高度の慢性呼吸不全や

・慢性心不全、などとされています。

 

パルスオキシメーターという指に挟む機械で酸素飽和度を

測定して、数値が90以下でないとその対象にはなりません。

単に「苦しい」だけでは、在宅酸素療法の対象にはなりません。

 

さて肺がんの場合酸素をする場合としない場合があります。

もしCOPDなどの基礎疾患に持っていればお勧めします。

末期がんだけの場合は、現実的には酸素投与はまちまちです。

 

末期がんの患者さんには多くの場合、呼吸困難が出ます。

しかし在宅酸素療法をしても寿命は大きく変わりません。

呼吸苦の改善にも、残念ながら多大な期待はできません。

 

改善しないどころか「シュー」という音で寝れないことも。

うっとうしいので酸素を外しておられることも多くあります。

末期がんの場合は、呼吸困難=酸素吸入とは限らないのです。

 

「では長尾先生、他にどんな方法があるのですか?」

 

研修医君がいい質問をしてくれました。

 

・モルヒネ

・ステロイド

・安定剤、  などで呼吸苦は少しは改善します。

 

まあ、残念ながら経験上、大きな期待はできませんが・・・

 

緩和医療の中でも、呼吸苦と全身倦怠感の緩和は難しいと

感じています。

(続く)