肺がんで闘病中の在宅患者さんが呼吸苦を訴えました。
抗がん剤治療、免疫療法、温熱療法と並行して
麻薬による緩和医療も行っています。
痰が多く出て、咳が止まらないため夜も寝れません。
聴診器を当てるといつもよりゼイゼイが激しかった。
一緒に訪問した研修医君に質問してみました。
「この呼吸苦を緩和するにはどうしたらいい?」
「酸素吸入をすればいいじゃないですか」
なるほど。
誰でもそう考えますよね。
御家族にもいつも言われます。
在宅酸素療法の保険適応としては、
・高度の慢性呼吸不全や
・慢性心不全、などとされています。
パルスオキシメーターという指に挟む機械で酸素飽和度を
測定して、数値が90以下でないとその対象にはなりません。
単に「苦しい」だけでは、在宅酸素療法の対象にはなりません。
さて肺がんの場合酸素をする場合としない場合があります。
もしCOPDなどの基礎疾患に持っていればお勧めします。
末期がんだけの場合は、現実的には酸素投与はまちまちです。
末期がんの患者さんには多くの場合、呼吸困難が出ます。
しかし在宅酸素療法をしても寿命は大きく変わりません。
呼吸苦の改善にも、残念ながら多大な期待はできません。
改善しないどころか「シュー」という音で寝れないことも。
うっとうしいので酸素を外しておられることも多くあります。
末期がんの場合は、呼吸困難=酸素吸入とは限らないのです。
「では長尾先生、他にどんな方法があるのですか?」
研修医君がいい質問をしてくれました。
・モルヒネ
・ステロイド
・安定剤、 などで呼吸苦は少しは改善します。
まあ、残念ながら経験上、大きな期待はできませんが・・・
緩和医療の中でも、呼吸苦と全身倦怠感の緩和は難しいと
感じています。
(続く)