緩和医療で患者さんはみる見る元気になりました。
呼吸も楽そうになり食事量が増え笑顔が出ました。
介護ベッドの上に長時間座れるようになりました。
そんな末期がん患者さんから想定外の質問が来ました。
「先生、リハビリをしなくてもいですか?」
思わず、研修医君に質問してみました。
「末期がんの患者さんのリハビリ希望、どうする?」
研修医君は素直に「分かりません」、と答えました。
もっともだと思います。
まだ議論のあるところで、定説には至っていません。
私は個人的見解を言いました。
「リハビリしたいという意欲は尊重すべきだ。
前向きな心ががん医療にも生きて来るんだよ」
本当か嘘かは知りません。
しかし私のクリニックでは10年前から末期がん患者
さんへの訪問リハビリを積極的に行ってきました。
1ケ月寝込んだあと全身状態が回復してリハビリで
外出可能になった末期がん患者さんがおられました。
理学療法士が自宅を訪問してリハビリをするのです。
「ところで、研修医君。訪問リハビリは医療保険か?」
この質問も研修医にはちょっと難しかったようです。
訪問リハビリは要介護認定者は介護保険で行います。
これを介護保険優先の原則、と呼ぶそうです。
ただし介護認定の無い人は、医療保険で行います。
40歳未満の末期がんの患者さんにはそもそも
介護保険が無いので、医療保険で行います。
また介護保険非該当の方も医療保険になります。
亡くなる前日までリハビリを行っていた人もいました。
様々な形での末期がんへのリハビリが行われています。
リハビリをして、楽しむことが、「生きる」ことです。