さて、かの肺がんの末期患者さんですが徐々に衰弱してきました。
一旦小康状態を保ったもののがんは確実に進行しているようです。
それは、血液中の腫瘍マーカーの値を見ればすぐに分かります。
腫瘍マーカーとは、がん細胞から血液中に放出される物質。
普通の採血ですぐに分かります。
大腸がんなら、CEA
膵臓癌なら、CA19-9
卵巣がんなら、CA125
肺がんなら、シフラ
前立腺がんなら、PSA・・・
様々ながんに特徴的な腫瘍マーカーがいくつか知られています。
しかし、全部を測るわけではありません。
当院ではせいぜい、上に書いた程度までしか測りません。
顔色や体つきを見てもがんが進行しているかどうかが
よく分からない場合が時々あります。
そのような場合、腫瘍マーカーの動向が大変役立ちます。
毎月、倍々と上昇してくるタイプは非常に進行性で要注意です。
一見変化が乏しくても残念ながら病気は確実に進行しています。
今後の病状の予測に腫瘍マーカーは有用です。
よく「がんがあるかどうか血液で調べてくれ」と言う人がいます。
腫瘍マーカーでがんの早期発見は普通は無理です。
ただしPSAだけは例外ですが。
腫瘍マーカーは、既にがんが確定した人に役立つものです。
在宅現場でも役に立ちます。
御家族に説明する時にも、説得力があります。
さて、その患者さんの腫瘍マーカーを毎月測っていますが、
順調に上昇していました。
残念ながら、余命はあまり長くないようです。
(続く)
PS)今日は大阪府八尾市で平穏死の講演をします。
http://www.nagaoclinic.or.jp/picture_library/seminer/20120519gengorou.pdf
お時間のある方は是非お越しください。