《0763》 将来を暗示するアルブミン値 [未分類]

研修医君に、質問してみました。

「腫瘍マーカー以外に、将来を予測する検査を知っている?」

 

研修医君は、少し考えてから答えました。

「貧血ですか? いや、炎症反応ですか?」

 

実は、アルブミンという血液中のたんぱく質が将来を暗示します。

アルブミンは肝臓で合成される蛋白質ゆえ肝硬変でも低下します。

それとは別に、老衰や認知症終末期の予後の予測に役に立ちます。

 

アルブミンの正常値は3.5以上です。

3.5を下回ると、あまりよろしくない。

3.0を下回ると、はっきりとよろしくない。

 

床ずれができたり、

できた床ずれがなかなか治らなかったり。

あまりいい話はありません。

 

さらに2.5を下回ると極めてよろしくない。

さらに2.0を下回るともっとよろしくない。

これらは同時に、かなりの浮腫みを伴います。

 

末期がん患者さんの腫瘍マーカーは将来を暗示しています。

老衰や認知症終末期ならアルブミン値が将来を暗示します。

これらは在宅現場では簡便で役に立つ指標として有名です。

 

「ところで研修医君、この患者さんのアルブミン値はいくら?」

 

「長尾先生、2.3と先月より0.5も低下しています」

 

こりゃいかん。

かなり死が迫っています。

 

「それで、患者さんはちゃんと食べれているの?」

 

「それが徐々に減ってきてほとんど食べられていません。

 長尾先生、栄養補給の点滴はどうしましょう?」

 

「点滴ですか・・・」

私も思わず考えてしまいました。

 

(続く)

 

PS)

今日は大阪駅近くでベストセラー「平穏死のすすめ」の

著者である石飛幸三先生と講演とトークを行います。

http://www.nagaoclinic.or.jp/picture_library/seminer/20120520kuore.pdf

残念ながら、既に予約は満員だそうです。

またこの場をお借りして報告申し上げます。