研修医君に、質問してみました。
「腫瘍マーカー以外に、将来を予測する検査を知っている?」
研修医君は、少し考えてから答えました。
「貧血ですか? いや、炎症反応ですか?」
実は、アルブミンという血液中のたんぱく質が将来を暗示します。
アルブミンは肝臓で合成される蛋白質ゆえ肝硬変でも低下します。
それとは別に、老衰や認知症終末期の予後の予測に役に立ちます。
アルブミンの正常値は3.5以上です。
3.5を下回ると、あまりよろしくない。
3.0を下回ると、はっきりとよろしくない。
床ずれができたり、
できた床ずれがなかなか治らなかったり。
あまりいい話はありません。
さらに2.5を下回ると極めてよろしくない。
さらに2.0を下回るともっとよろしくない。
これらは同時に、かなりの浮腫みを伴います。
末期がん患者さんの腫瘍マーカーは将来を暗示しています。
老衰や認知症終末期ならアルブミン値が将来を暗示します。
これらは在宅現場では簡便で役に立つ指標として有名です。
「ところで研修医君、この患者さんのアルブミン値はいくら?」
「長尾先生、2.3と先月より0.5も低下しています」
こりゃいかん。
かなり死が迫っています。
「それで、患者さんはちゃんと食べれているの?」
「それが徐々に減ってきてほとんど食べられていません。
長尾先生、栄養補給の点滴はどうしましょう?」
「点滴ですか・・・」
私も思わず考えてしまいました。
(続く)
PS)
今日は大阪駅近くでベストセラー「平穏死のすすめ」の
著者である石飛幸三先生と講演とトークを行います。
http://www.nagaoclinic.or.jp/picture_library/seminer/20120520kuore.pdf
残念ながら、既に予約は満員だそうです。
またこの場をお借りして報告申し上げます。