《0765》 貼る麻薬、肛門から入れる麻薬 [未分類]

末期がんの在宅患者さんは痩せてきました。

食事量が徐々に減り脱水にもなりました。

しかし「脱水は友」、慌てる必要はありません。

 

胸水や腹水の苦痛からは解放されています。

また胸とお腹の痛みは、オキシコンチンと

いう飲み薬(麻薬)でコントロールできています。

 

しかし、だんだんお薬を飲めない日が出てきました。

朝は飲めても夕は飲めないなど不安定になりました。

そこで「貼るタイプの麻薬」に変更しました。

 

デュロテップパッチという3日に1枚タイプと

フェントスという1日1枚タイプの2種類があります。

介護の状況により両者を使い分けています。

 

貼り薬は皮膚からジワーと吸収され血中濃度が安定。

食事量が減った患者さんには大変役に立つ剤型です。

それにしても便利な時代になりました。

 

貼り薬の量を調節して痛みが消える量を探します。

その作業をタイトレーションと言います。

ここで、研修医君に質問してみました。

 

「それでも痛い時はどうしたらいい?」

 

「頓服の麻薬を飲んではどうでしょう?」

 

「だから口から飲めないと言っているでしょう」

 

「そうか、点滴か注射で麻薬を入れてはどうでしょう?」

 

「いいけど、誰がやるの?」

 

「看護師さんかな」

 

「看護師さんが、ずっといるのかな?」

 

「・・・」

 

「実は、肛門から入れる麻薬があるんだ

 アンペック座薬というモルヒネ製剤だ」

 

「そうか、座薬ですね!」

 

「じゃあ誰が座薬を入れるのか分かるかい?」

 

「家族かヘルパーさん?」

 

「本人か家族はいいけど、ヘルパーさんはちょっとね。

 なるべくなら訪問看護師さんにお願いしたいね」

 

という訳で、貼り薬の麻薬と頓服として座薬の麻薬を

セットで処方し訪問看護師さんにお願いしました。

なんといっても訪問看護師さんが在宅医療の主役です。

 

そうこうしているうちに、ほとんど食べすに

寝ている時間が長くなってきました。

(続く)