《0767》 夜のムンテラ [未分類]

今日は「ムンテラ」という業界用語について。

 

ムーンド・テラピーというドイツ語の略語です。

お口で喋ることによる治療法のこと。隠語です。

要するに、分かり易く説明して納得を得ること。

 

「研修医君、医療ではムンテラが大切だ。

 特に在宅医療ではムンテラが命綱なんだ」

 

1日中ウトウトし始めたら、余命は数日です。

週単位だったのが、日単位に変わってきます。

少しずつ最期の時が近づき、家族は慌てます。

 

そこで御家族に「ムンテラ」を行います。

私の場合、夜に行うことが多いです。

夜ならまず家族全員が揃うからです。

 

また夜の方がじっくり時間が取れます。

聞きたくない死の話も、夜ならし易い。

泣かせてしまうとすれば夜の方がまし。

 

ムンテラのつもりがつい力が入りすぎて

「講演」になってしまうこともあります。

これがあるから、在宅看取りが行えます。

 

「長尾先生、いったいどんな話をするんですか?」

 

「黙って横で聞いていればいいよ。

 企業秘密だけど、まあいいや」

 

本当はそんなたいそうな話ではないと思います。

自分でもよく分かりません。

しかし今夜は、心を込めて「ムンテラ」します。

(続く)

 

PS)

今日は関西学院大学で医療制度の「講義」をします。

この春から、2つの大学の教員を拝命しています。

元々教師志望だったので、念願叶っての授業です。

 

講演ではありません。

ムンテラでもない。

「講義」は、どこかしら緊張します。