今日は「ムンテラ」という業界用語について。
ムーンド・テラピーというドイツ語の略語です。
お口で喋ることによる治療法のこと。隠語です。
要するに、分かり易く説明して納得を得ること。
「研修医君、医療ではムンテラが大切だ。
特に在宅医療ではムンテラが命綱なんだ」
1日中ウトウトし始めたら、余命は数日です。
週単位だったのが、日単位に変わってきます。
少しずつ最期の時が近づき、家族は慌てます。
そこで御家族に「ムンテラ」を行います。
私の場合、夜に行うことが多いです。
夜ならまず家族全員が揃うからです。
また夜の方がじっくり時間が取れます。
聞きたくない死の話も、夜ならし易い。
泣かせてしまうとすれば夜の方がまし。
ムンテラのつもりがつい力が入りすぎて
「講演」になってしまうこともあります。
これがあるから、在宅看取りが行えます。
「長尾先生、いったいどんな話をするんですか?」
「黙って横で聞いていればいいよ。
企業秘密だけど、まあいいや」
本当はそんなたいそうな話ではないと思います。
自分でもよく分かりません。
しかし今夜は、心を込めて「ムンテラ」します。
(続く)
PS)
今日は関西学院大学で医療制度の「講義」をします。
この春から、2つの大学の教員を拝命しています。
元々教師志望だったので、念願叶っての授業です。
講演ではありません。
ムンテラでもない。
「講義」は、どこかしら緊張します。