《0768》 生きて入るか、死んでから入るか? [未分類]

緩和医療は90点、脱水も90点、全体的にまずまずの点数で

3日間が経過しました。

ご家族への看取りの「ムンテラ」も深夜に無事終わりました。

 

みなさん、看取りモードに入られています。

交代で介護ベッドの下に寝てくれています。

まさしく家族の共同作業です。

 

飲み物以外に、おかゆやフルーツを少しずつ食べられています。

吐いたりすることもなく、平穏と言えば極めて平穏な日々です。

傾眠状態は、いいことなのです。

 

「研修医君、もし自分が患者さんだったら何をして欲しい?」

 

「お風呂に入りたいです」

 

研修医君が、無類の風呂好きだったことを思い出しました。

そういえば、この患者さんは2週間風呂に入っていません。

ウトウトしている患者さんに聞いてみました。

 

「お風呂に入りたいですか?」

 

「どっちでもいいです。先生が決めて下さい」

 

そう言われても困るので、ご家族に聞いてみました。

「どうされすか?」

家族も困った顔をされています。

 

「先生、家で入浴できるんですか?」

 

「できますよ、体力的にも大丈夫です。

ケアマネさんを通して訪問入浴を依頼すればいい」

 

それでもご家族は迷われています。

 

「私だったら、最期にお風呂に入りたいな!」

 

それでもまだ迷っておられます。

 

そこで思わず言ってしまいました。

 

「生きているうちなら介護保険が使えるので

 たった1250円で入浴できます。

 但し亡くなってからだと湯燗になり7万円かかります」

 

ここまで言ったところで、長女が答えました。

「先生、入れてください!」

 

夕方、訪問入浴業者がやってきました。

元気な男の子2人とベテラン看護師の3人組。

あっという間に訪問入浴が無事終わりました。

 

患者さんは気持良さそうな顔をしていました。

実に幸せそう。

感想を聞くと、意外な言葉が返ってきました。

 

「先生、明日も入りたいです・・・」

 

(続く)

 

PS)

昨日は大学で在宅看取りの講義をしました。

普段は高齢者を相手にしているので熱心に聞いてくれますが、

学生さんには少々退屈だったようです。

仕方がありません。