《0773》 点滴中止と人工呼吸不開始 [未分類]

今日も研修医君の質問が続きます。

「点滴という延命処置は中止したのに

 在宅酸素という処置は続けるんですか?」

 

確かに言われてみればそのとおり。

 

「そして家族が希望する人工呼吸器は断るんですか?

 医師の一存で勝手に断ってもいいんですか?

第一、     本人に聞かなくてもいいんですか?」

 

少し整理して考えてみましょう。

 

1) 延命処置の是非は 不治かつ末期の時に議論される。

2) 延命処置は、不開始と中止に分けて議論されている。

3) そして不開始は罪か? また中止は罪か?

 

1)    については、確かに不治かつ末期だ。

2)    については、人工呼吸器は不開始で点滴は中止。

3)    については、よく分からない。

 

不開始と中止の意義についても議論されています。

 

中止というとなんだか抵抗があるという人がいます。

しかし開始する前に戻っただけいう解釈があります。

一方、不開始という選択の怖さを指摘する声もある。

 

すなわち最初から開始しないということは、最初から

100%諦めてしまっているとうこと。

ダメ元で開始するという選択を最初から放棄しています。

 

ですから、不開始は、中止より罪深いという人もいます。

 

実際、延命処置の中止で医師逮捕された事件はあります。

一方、不開始で逮捕された話は聞いたことがありません。

それから考えると、中止の方がハードルが高いのか??

 

どこか禅問答みたいになってきました。

 

「研修医君、普段病院で何気なくやっている延命処置は

 実は、終末期議論からは、いろんな解釈が出来るんだ。」

 

「長尾先生、延命処置って難しいし怖いものですね。

どちらにせよ先生が逮捕されなければいいんです。」

 

「逮捕って!?・・・」

 

(つづく)