今日も研修医君の質問が続きます。
「点滴という延命処置は中止したのに
在宅酸素という処置は続けるんですか?」
確かに言われてみればそのとおり。
「そして家族が希望する人工呼吸器は断るんですか?
医師の一存で勝手に断ってもいいんですか?
第一、 本人に聞かなくてもいいんですか?」
少し整理して考えてみましょう。
1) 延命処置の是非は 不治かつ末期の時に議論される。
2) 延命処置は、不開始と中止に分けて議論されている。
3) そして不開始は罪か? また中止は罪か?
1) については、確かに不治かつ末期だ。
2) については、人工呼吸器は不開始で点滴は中止。
3) については、よく分からない。
不開始と中止の意義についても議論されています。
中止というとなんだか抵抗があるという人がいます。
しかし開始する前に戻っただけいう解釈があります。
一方、不開始という選択の怖さを指摘する声もある。
すなわち最初から開始しないということは、最初から
100%諦めてしまっているとうこと。
ダメ元で開始するという選択を最初から放棄しています。
ですから、不開始は、中止より罪深いという人もいます。
実際、延命処置の中止で医師逮捕された事件はあります。
一方、不開始で逮捕された話は聞いたことがありません。
それから考えると、中止の方がハードルが高いのか??
どこか禅問答みたいになってきました。
「研修医君、普段病院で何気なくやっている延命処置は
実は、終末期議論からは、いろんな解釈が出来るんだ。」
「長尾先生、延命処置って難しいし怖いものですね。
どちらにせよ先生が逮捕されなければいいんです。」
「逮捕って!?・・・」
(つづく)