《0775》 介護者のほうが倒れた! [未分類]

傾眠状態の末期がんのおじいちゃんを介護していた

おばあちゃんが、めまいで倒れてしまいました。

実は、これはよくあることです。

 

正確には、必ず起こることと言ってもいいかも。

研修医君を連れて、急いで入って行きました。

何故、急ぐのか?

 

在宅医療が続けられるかどうかは、

介護者にかかっているからです。

もしおばあちゃんが入院すれば在宅療養は成立しない。

 

正確には、全然、成立するのですが、

家族や遠くの親戚の反対で成立させてくれなくなる。

本人の意思とは無関係に、病院に入院させられる・・・

 

良性発作性頭位めまい症と診断しました。

めまいの点滴とお薬で翌日にはほぼ改善し、

なんとか在宅療養を継続できることになりました。

 

「あの女子サッカーの澤選手でもなるくらいだからね。

やはり無理をしてはいけないよ。

ある程度の睡眠を確保しないと」と説明しました。

 

 

「長尾先生は、家族のほうばかり向いていますね」

研修医君が嫌味を言いました。

 

でも確かにそのとうり。

患者さん本人より、家族の方を向いている時間の方が

長いかもしれません。

 

しかしそれには、2つの理由があります。

遠くの親戚に訴えられないため、そして

介護者が倒れそうでないかを見ておくため。

 

在宅療養が1ケ月以上続くとカルテが2冊に増えます。

患者本人だけでなく介護者のカルテも必要になります。

在宅療養ではそのようなことがよくあります。

 

「お二人は二人三脚。つがいの鳥のようなもの」

 

研修医君に、こうも説明しました。

 

「病院では、患者さんしか診ないよね。

でも在宅では家族も一緒に診ることになるんだ」

(つづく)